122

「当然だ、召喚士と呼ばれる職業は100年に一人出るか出ないかと言われている伝説の称号だからな」



男は自慢するように胸を張って言う。



「…伝説、だと…?」


「ああ、疑うなら外に出ろ」



青年が信じられないように呟くと男はドアを顎で示す。



「…見るが良い…コレが究極の魔法!魔導の頂点、召喚術だ!魔導スキル『召喚』!」



青年と女の人が外に出るや否や男が叫んでスキルを使う。



すると突然空中に魔法陣が浮かび上がった。



「グオオオ!!」



そしてその魔法陣から火を纏った鬼のようなモノが出てきて、天に向かって吠える。



「「「「グルル…!!」」」」


「…コレはマズイな、召喚スキル『ストック』」



突如空中に現れた炎を纏う異形のモノに、魔物達が一斉に臨戦体勢に入って警戒するように唸ったのを見て…男が慌てて召喚獣を消す。



「…い、今のは…?」


「『イフリート』を模した火の召喚獣だ、今のは大してMPを使って無いから2mほどの小ささだったが」



呆然としたように聞く青年に男が軽く説明した。



「…アレで小さいのですか?」


「ああ、ちゃんとしたヤツは3mを超える」



女の人の疑問に男は袋から本を取り出して答える。



「モチーフはコレだ」


「…童話か…?」



男が差し出した『召喚と獣』という名前の本を見て青年が問う。



「ああ、俺が小さい頃に何百回も読んでいた本だ」


「…炎の鬼『イフリート』氷の女王『シヴァ』雷の王『インドラ』風の精霊『シルフ』土の巨人『ゴーレム』…」



青年は本をパラパラと捲って出てくる召喚獣の名前を呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る