119



「??」


「畑を増設したんだけど…増やした分何を作ろうか考えててね」



不思議そうな顔をする男に彼女が話し始めた。



「…なるほど、確かに俺たちには関係の無さそうな話だな」



手伝おうにもやり方が分からず君の手を煩わせるだけだし…と男は沈んだような表情になる。



「ソレで…既存の物を増やすか、新しい物を増やすか、既存の物を組み合わせて新種を作るか、新しい物を組み合わせて新種を作るか…で迷ってる」


「…お、おお…」



一気に複雑化した話に男はパチパチと瞬きをするもなんとかついて行こうとした。



「その新しい物…と言うのはその畑に無い物で、種から育てるやつ…だよな?」


「ん」



男の確認に彼女は短く肯定する。



「既存の物を組み合わせる、新しい物を組み合わせる…で出来る新種とはそう簡単に成功するのか?」


「さあ?ソレばっかりはやってみないと分からないけど…成功させるのは難しいんじゃない?何が出来るか、組み合うのかも分からないし?」



男が疑問を聞くと彼女は適当に疑問系で返した。



「…ソレなら既存の物か新しい物を……いや、だがあえて攻めてチャレンジするのも…」



男は自分の意見として何かを言いかけて考え込む。



「…うーむ…」


「な?迷うだろ?」



腕を組んで考え込む男に彼女が珍しく笑いながら聞く。



「…そうだな、悩みというほどでは無いが…」



微妙な表情をしながら男が言いかける。



「とりあえず消去法で既存か新しい物に絞られるんだけど、そっからまた…」


「うむぅ…食べる側からしたら新しい食材はありがたいが、育てる事や料理する事を考えると…」



俺が作るワケじゃないから余計に…と彼女の言葉で男は更に考え込んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る