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「…まだ若いのに…ああいう人を天才と言うのかも知れませんね」
ほぼ彼女の料理の付与効果のおかげ…という事を知らない女の人は男をかなり高く評価する。
「若い…?んんっ、天才か…確かに、アレは紛れもなく天才と呼べるだろう」
青年は女の人が彼女の事を指していると勘違いし咳払いして話題を変えるように賛同した。
「私も少しでも追いつけるように頑張らないと…」
「…そうだな、俺もアイツに負けてはいられない…頑張らねば!」
女の人の呟きに賛成して青年は気合を入れる。
その頃、『アイツ』と青年に話題に出された男は…
「…まだ本はあるさ」
彼女に鬱陶しがられて家から追い出されていた。
「ふんふふん♪」
男が再びプレハブのような納屋の中に入って行こうが彼女は全く気にせずに昼食の準備を続ける。
「おっと…そういや、まだあの料理を作らないといけないのか聞いてなかったな…」
途中で何かを思い出したのか彼女は一旦作業を止めて家から出た。
「おーい」
「なんだ?」
彼女がプレハブのような納屋のドアを蹴りながら声をかけると男が慌ててドアを開ける。
「まだあの効果のある料理を作らないといけないの?」
「そう…だな、出来れば今週いっぱいまでは…」
怠そうに聞く彼女に男は苦笑しながら歯切れ悪く返す。
「今週いっぱいって…」
「あと4日…頼む!いや、お願いします!」
彼女が呆れたようにため息混じりに呟くと男は手を合わせ頭を下げて頼み込んだ。
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