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「俺は子供の頃から魔導師目指してひたすら勉強したが、今に至る十数年で会得した魔法はたった一つ…」



魔導師になるのに何十年かかるんだ、と半ば諦めていたのだが…いやはやチャンスというのはどこに転がっているか分からないな…と男はニヤリと笑って自分の運の良さを自慢した。



「…ソレは何もお前だけに当てはまる事ではあるまい」



裏を返せば俺だってあの子だってチャンスはあるハズだ、と青年は言い返す。



「…お前達に悲願とやらがあるのなら、な…その時は俺も手伝ってやるよ」



男は青年の肩に手を置いて彼女の居るであろう家の中へと入る。



「…俺の、悲願…」



男が居なくなった後に青年は思い返すように空を見上げながら呟いた。



「…どうかしたんですか?」



休憩を終えて家から出てきた女の人が空を見上げてる青年に不思議そうに声をかける。



「いや、なんでもない…鍛錬を続けようか」


「はい!」



青年が適当に返してそう告げると女の人は気合の入った返事をした。



「あ、そういえば…さっき家の中まで高笑い?が聞こえたんですけど…」



なにかあったんですか?と移動中に女の人が青年に聞いてくる。



「ああ…どうやらアイツが魔導師になったらしい」


「…え?…魔導師って…あの…?」



青年の返答に女の人は驚きのあまり立ち止まった。



「…世界三大最職の魔導師だ」


「…凄い…!あの人ってそんなに凄い人だったんですね!」



青年が軽く説明すると女の人は憧れるような感じでテンションを上げる。



「凄い人、か…そうだな、確かに3日もずっと篭って本を読み続けるというのは凄い事だ」



普通なら…俺ならとてもそんな事は出来ない、と青年は女の人の言葉に頷いた。

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