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「ああ、誘ったら珍しくオーケーだった」


「…そうか、なんか魔物とやる時よりも緊張するな」


「どうでもいいけど、やるんなら早くしろよ」



男の言葉に嬉しそうに言う青年に彼女は関心なさそうに催促する。



「ああ、では少し早いが…模擬戦闘を開始しよう」


「…!…分かりました!」



青年が戻りながら告げると女の人は一瞬驚いたような表情をしたが直ぐに気合を入れた。



「回復アイテムはあるから遠慮はしなくていい、俺は最初の5分間だけ防御に徹する」



女の人に軽く説明すると青年は剣を構える。



「行きます!」


「来い!」



女の人が叫んで青年に向かって走り『騎士 Lv19』と『剣士 Lv38』の模擬戦闘が始まった。



「剣スキル『スラッシュ』!」


「おっと!」



間合いを詰めるや否や女の人はスキルを使って攻撃したがあっさり避けられる。



「剣スキル『スラッシュ』!」


「!くっ…」



斜め下に振り切ったはずの剣がスキルを発動する事により体勢に関係なく、一瞬で上段に構えた状態に戻り…女の人はそのまま斜め下に振り下ろした。



青年は避ける事が困難だと判断したのか剣で受け止める。



「盾スキル『バッシュ』!」


「ぐ…」



女の人は剣が受け止められると直ぐにスキルを発動させ左手に装備した盾で青年の胴を叩いてノックバックさせた。



すると少し後ろに弾き飛ばされた青年の上に1という白い数字でダメージが表示される。



「おお、ノックバックか」


「ノックバック?なにそれ?」



女の人の攻撃に男が面白そうに言うと彼女が聞く。



「ノックバックとは弾き飛ばす、と意味だ」



今のは少ししか後ろに下がらなかっただろう?だから効果は『ノックバック 小』という事になる…と男が説明した。

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