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「…だからゾンビ解除の効果があるやつを渡したのか?」
「そうそう…ってかアレが私の考えに気づくなら、使うのは魔物に会ってからだハズ」
男が少し考えながら聞くと彼女は思わせぶりな事を零す。
「…どういう事だ?」
「攻撃効かないやつがいたら話しぐらい聞こうとするかなー…と」
男の疑問に曖昧に返して彼女は手を止める。
「とは言え実際行動するのはあれだから私たちの思惑なんて通じないっしょ」
そして男の方を振り向いて肩を竦めながら続けた。
「…ソレもそうだ、だがアイツなら今頃使っていてもおかしくはないかもな」
男は彼女の言葉に納得するように呟くと笑いながら青年の事をネタにする。
「はは、流石に今は早すぎるからナイでしょ」
彼女も男の話に笑うが、当の本人は言うと…
「くそっ…!耐性・極の水筒が空になったか…!」
すでに一番大事な水筒を先に空にしていた。
そして青年は焦ったように呟くと水筒を袋の中に入れる。
「…いったいどこにいるんだ…このままじゃ…」
群がるゾンビから逃げるようにビルのような建物に入るとドアの鍵を閉めて街の地図を広げた。
「「「「あ〜…う〜…」」」」
「…残るはA地区だけか…幸いこの高さからなら見渡せるかもな…」
青年はドアの所で立ち止まって呻いてる人達をチラッと見ると階段を上がって行く。
「…あ~…う~…」
「…こんな所にも居るのか…」
ドアが開きっぱなしになってるフロアから呻き声が聞こえ、青年は息を潜めながら音を立てないように慎重に上がる。
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