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青年が足を止めたのは魔物の群れのボスの前。



周りから見たら一触即発のようにも思える状況だが彼女は全く興味を示さずに解体済みの獲物を家の中に入れる。



『貴様は…この前の…!』



目の前で立ち止まった青年を見て伏せっていたボスが立ち上がり警戒したように唸った。



「…この前はすまなかった、そちらの事情を考えずに自分勝手な行動だったと反省している…だから俺はなるべく君達に危害を加えないようにする」



青年はボスが臨戦体勢を取っているにも関わらず、無防備に頭を下げて謝罪した。



『…なんだと?』


「俺や、あの少女…と言っていいのか分からない人、無関係な一般人達に危害を加えようとしない限り、俺からそちらに危害を加えないと約束しよう」


『……何が目的だ?』



頭を下げたままの青年の謝罪にボスは意図を図りかねたように困惑しながら問う。



「人と魔物の共存、という彼女の可能性に賭けてみたくなったんだ」



青年は頭を上げると強い決意を込めた目でボスと目を合わせる。



『…人と魔物との共存だと…?笑わせるな!』


「だが、現に君達は人である彼女と共存してるではないか」



ボスの咆哮にも全く怯まずに青年が言った。



『………好きにしろ』



青年の言葉に何かを感じたのかボスは臨戦体勢を解いてソッポ向くとその場に伏せる。

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