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「…すまない…気をつける」



青年は小声で謝ると音を立てないように進む彼女の後を音を立てずに追う。



「……そこだ」



彼女が茂みに身を隠しながらボウガンを構え、鹿のような動物の頭に狙いを付けて矢を放つと見事に命中する。



すると鹿のような動物は短い悲鳴を上げて倒れた。



「…あんたさっき手伝うって言ったよね?」


「!ああ、何をすれば良い?」



彼女の問いに青年は嬉しそうに聞く。



「10cmほどの深さの穴を1mぐらい広く掘ってほしいんだけど」



袋からスコップを取り出すと彼女は青年に差し出して指示をする。



「…お安い御用だ」


「…アーメン」



青年がスコップを受け取ると彼女は鹿のような動物に向かって手を合わせて袋から包丁を取り出す。




「…これぐらいで良いか?」


「ん、じゃあコレ持ってくれる?」



青年が穴を掘り終わると彼女は血抜きと内臓を取り出し終わった鹿のような動物の足を縛ってその紐を渡す。



「…もう解体したのか?」


「簡単な処理をしただけだよ」



内臓や頭をスコップで穴に放り込むと血で変色した土を上からかけていく。

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