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「レベルが37…そして群れをなしているならもはや俺の手に余る…援軍を要請すべきか…」
「…どうでも良いけど、この山を戦場にはしないでくれよ」
珍しく自給自足できる場所なんだからな…と彼女はブツブツ呟く青年に頼む。
「…そういえば…なんで君はこんな所に住んでいるんだ?」
今のやりとりで気になったのか青年が聞いてくる。
「…なんでって…今言った通り自給自足出来るから?人がいないし来ないから家賃も無い、それに広い土地を使いたい放題で税金も払う必要無いから」
「…なるほど…自給自足か…」
彼女の答えに青年は何かを考えるように顎に手を当てた。
「しかし、この山を戦場にしないとなるとあの魔物達を追い出さないといけないな…」
どうしたものか…と頭をひねる青年を無視して彼女は杭を打ち込み、最後の看板を設置する。
「じゃ、頑張ってね」
「!?待て、一人で戻るのか!?」
「一人っていうか…この魔物もいるし?」
彼女は小屋からずっとついて来ている魔物を指差(ゆびさ)した。
「…一人じゃ危ない、家まで送ろう」
「余計なお世話だと思うよ?あんたが来ると魔物達を刺激させかねんし」
強そうな魔物の群れに一人で対抗出来るの?と、青年に注意するような言葉を残して彼女は山を登っていく。
「……ええい!何を迷ってるんだ俺は!万が一があってからは遅いのだ!」
青年は暫くその場で突っ立って彼女を追うべきか否か迷っていたが…
頭を振って吹っ切れたように気合いを入れ、先に登って行った彼女を追いかけるように走る。
「やはり一人では危険だ!」
「…さっきのを聞いて追いかけて来る?普通…」
山の中腹辺りで追いついて来た青年を見て彼女はため息を吐いた。
「万が一の危険性に備えてだ!」
「あんたが一緒じゃ万が一が十が一になるよ…」
彼女は青年を見てヤレヤレ…と頭を振り呆れたように零す。
「相手は魔物だ、何があるか分からない」
「そりゃそうだけどさ…こっちが喧嘩腰なら相手も喧嘩腰になるっしょ?言ってる意味分かる?」
「…敵が手出しして来るまで剣を抜くな…と言う事か?」
彼女の言葉の意味を青年が理解できたらしい。
「ん、もし襲われる前に剣を抜いたら山から叩き出すからね」
釘を刺すという意味合いで彼女が青年に注意する。
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