番外編ー真実の導火線

「え?万華神社?満願じゃなくて?」


それは私が透と付き合って数日を無事、何の時戻しもなく過ごしたある日のことだった。


「うーん、やっぱり見間違いかな……」


少し気になった私は仲の良い友達全員に聞いてまわったけど、結局誰も万華神社なんて場所は知らないと言われ、どうにも気になって足を運んだそこにはどう探してもそもそも神社さえ見ける事ができなかった。


ただ、


「少し、信じ難い話だけど実は私も似たような白昼夢を覚えてるのよね……」


そう言ったメガ姉が一つの仮説を立ててくれた。


「確認のしようはないけど、もし、もしね……そういう非科学的な、超常的な力っていうのがあるとして、その神社の名前が万華鏡の万華なら、それは……」


万華鏡、それは見るたびに景色を変える写し鏡の玩具。


その景色が万の華に変わるという由来と同じく、その神社の姿も万に変わるものなのかもしれない事と、


玩具である万華鏡が持ち主が景色を変えたい時に次の華を見せる様に、私にとって見る必要のなくなった神社は姿を消したのかもしれないという仮説


そして、神社のご利益で何度も繰り返した時も、その《時間という華》の《何万通りもの可能性》を《見せて》くれたものだとこじつけると、少しだけ名前に因んだご利益に見えてくる。とは言ってもメガ姉本人も


「いい加減なこじつけだから信じないでよね」


と言っていたし、真実を知る方法なんて検討もつかない。


それこそ、仮説だけならその神社の名前と同じく万華鏡の様に幾つもの可能性を秘めているんだろうと思うしかない。


ただ、もし、もう一度あそこに辿り着けたならしっかりとお礼の意味を込めて、50円じゃなくて500円くらいは放り込もうかななんて思うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る