紙飛行機

@minato_hotaru

第1話

シャツの襟が風に遊ばれて

正しい折り目を忘れた時に

どこかへ連れて行ってくれるような

優しい乗り物が翼を広げ

僕の右肩でざわざわと揺れる


いつかこの襟が紙飛行機になって

高い山脈を越えたとしたら

君の足元に落ちる日を待つ


随分と遠い場所に来たものだ

僕等は顔を合わせない季節も

きっとどこかで思い出している


背中を向けて終わった物語

エンドマークを付けなかったのは

最終ページを継ぎ足して走る

自分の世界を信じるだけだ


頑張れと言わなくても解ってた

僕等は言葉の壁を登るより

心の内側で手を握った


シャツの襟が風に遊ばれて

正しい折り目を忘れた時に

見上げる青空に尾を引く線は

君の住む街へ届いただろうか?

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