第101話 成功と成功?と
「アキ様……、これは……?」
「んー……、わかんないけど……。成功か失敗か、どっちにしても一度取り出してみないと調べようがないし、出してみよっか」
「は、はい」
シルフと協力して、ゆっくりと薬草を鍋から取り出す。
なんだろう……、色がさっきより薄い……?
本来、薬草は深い緑色をしていて、その色がポーションにも表れてるんだけど……。
「でも、鍋に入れる前より瑞々しい感じがしますね」
「確かに……、水につけたからってだけじゃなさそうだね」
実際、まな板の上に置いてみても、どことなくハリがあるような。
それこそ、若返ったような感じですらある。
さてさて、素材自体に変化が出てたりとかは……。
[薬草(純):10秒かけてHPが7%回復
苦みの成分が減った薬草。そのままでは効果が薄い]
「よっし!」
「やりましたね、アキ様!」
シルフと二人、ハイタッチで喜びを分かち合う。
苦みの成分が減ったってことなら、味にも影響があるはず……!
これなら苦みの無いポーションが……!
「よし、それじゃさっそ……」
コンロへと目を動かしつつ、早速、と言いかけた僕の視界に、あの紫の水が飛び込んできた。
そういえばそうだった。
アレ、片づけてなかった……。
「……まずは片づけかなぁ」
「そうですね……」
上がったテンションを一気に下げつつ、そっと鍋の中身を見てみる。
さっきは気付かなかったけど、結構目に染みる匂い……。
「これ、もしかしてこっちも何かの素材になったりしないよね……」
「ど、どうでしょう……」
「とりあえず1本だけ、取り出してみよう……」
モノは試しということで、瓶へと移し替えることに……。
掬いあげてみると、なんだかトロっとしてる……。
「うわぁ……」
[抽出液(薬草):薬草の苦い部分のみを抽出したもの
苦みが強く、このままで使用できない]
「悪いところを抽出した残り……なんだろうけど……」
「一応素材にはなりそう……ですね」
「このままじゃ使えないみたいだけどね」
とりあえず素材ではあるみたいだし、取っておくだけ取っておこうかな……。
でも、これ……あんまり自分からすすんで使いたくない……。
そう思いつつも、ひとまず瓶に移せば、全部で6本になった。
それを、ささっとインベントリに仕舞い、気を取り直して鍋を洗っていく。
「ひとまずは、同じ作り方でポーションを作ってみて……」
「苦みが減ってればいいですけど……」
洗い終わった鍋に、水を入れて火にかける。
その間に[薬草(純)]を刻んでから、沸いたお湯の中に投入した。
グツグツと煮詰めつつ、浮いてきた灰汁を取っていき、程よくお湯の色味が変わったタイミングで、火を切る。
そして、いつものようにシルフに冷ましてもらい、瓶に入れ替えれば……。
「完成っと」
「特に変化はなさそう、ですね……?」
比較対象として、インベントリから[最下級ポーション(良)]を取り出し、今完成したものと並べて置いてみる。
中身の色も変わらなさそうだし、作成にかかる時間も変わってなかった気がする。
しかし、元々作っていた方の詳細に比べると――
[最下級ポーション(良):10秒かけてHPが20%回復
多少苦味が抑えられている]
[最下級ポーション(良):10秒かけてHPが20%回復
よく苦味が抑えられている]
回復量に変化はないけど、文章が少しだけ変化してる!
これなら期待できるかもしれない!
「よし、それじゃ飲んでみよう!」
「は、はい! お水準備しておきます!」
シルフがカップに水を入れてくれているのを横目で確認しつつ、ゆっくりと腰に手を当てて……。
僕は勢いよく、瓶の中身を口へと運んだ。
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