第497話 ◆アリシアの大冒険(その8) 伝説の武器

◆アリシアの大冒険(その8) 伝説の武器


あたしはエルフの里に帰る途中に、この村に立ち寄ったことをディアに話した。


ディアはそれならば、そこまででもいいので一緒に旅をしようと目をキラキラさせて迫って来たので、思わずOKしてしまった。



ディアはこの小さな村での生活に退屈していて、近々村を出て世界のあちこちを旅して回ろうと思っていたらしい。


でも、この小さな村から出たことがほとんどなく、なかなか思いきれなかったのだそうだ。



ところでディアのスキルって何があるの?


スキルって?


いや、ほら。  あたしは魔法が使えるけどディアは使えるの?


わたしは勇者の血を引いているだけで、魔法は使えないよ。


だったら、剣術ができるとか銃が扱えるとかは?


武器の類

たぐい

なら狩りで使うので弓は結構うまいと思うが、それじゃダメか?


弓ですか・・・  (うわっ この人こんなんで冒険者になろうっていうの)


なにか問題でも?


問題っていうか。 この島には魔物がいないみたいだけど、この島を出たら魔物がうじゃうじゃいるのよ。


弓矢で魔物を倒せないことはないけど、大勢の兵士が一斉に矢を放つとかしないと無理だから!


あたしは、ディアに強く当たる。  だって少しでも舐めてかかったら、即死につながるのだから。



最低限、自分の身は自分で守れないとダメよ。 いいことディア。 そんなんじゃ命が幾つあっても足りないわよ。


あたしは、人差し指をビシッと立ててディアに言ってあげた。



そうか・・ でも、この弓はただの弓ではないぞ。  ディアがあたしにグィッと近寄って来る。


え、どういう事?


ふふん。 これは我が家に代々伝わってる弓なんだぞ。


なんだ。 いわゆる家宝みたいな物よね・・



いやいや、よく聞いてよ。  この弓で矢を放てば百発百中だし、どんなものでも射貫くことができるんだぞ。


でも、ゴーレムっていう魔物は、体が岩や石で出来てるのよ。  弓矢じゃ倒せっこないわ。


あたしがそう言うのを聞いて、ディアがニヤッと笑う。  


それじゃあ、見せてあげるよ。 この弓の凄さを。



あたしはディアに促されて、近くにある垂直に切り立った崖の下までやって来た。


いいかい。 そこでよく見てなよ。


そういうとディアは、弓を番

つが

えた。



ヒュンッ   キュゥーーーーーーッ


矢羽が風を切る音が辺りに鳴り響く。


そして放った矢は、若干の放物線を描きながら崖の中腹に当たった。


ドォォォーーー


今度は地響きとともに、足元がグラグラと揺れ始める。


次の瞬間、目の前にあった崖が大きく崩れて来る。


わわわっ


アリシア、大丈夫だからそこを動かないで!  


ディアが弓を持ってあたしの前に立つと崩れて来た大岩や土砂は、あたしたちを避けるように左右に流れていく。


どうだ?  この弓は、すごいだろう?


弓はこうして構えれば、盾になって防御もできるしね。 これなら魔物が出たって平気だろ?


確かに威力はそこそこあるのね。


あたしは、何の力も持っていなかった頃のセレネも知っていたので、これでも何とかなるかもしれないと思ったのだった。





***


セレネさんのスキルってどんなのがありましたっけ?


あらあら、あたしの口から言わせる気なの?


どうぞ。 僕は構いませんよ。


まあ、魔法なんてものは後から身につけたから除外するとして・・


あれ?  唯一のスキルを捨てました?


やーねー あたしはJKなのよ。 なんていっても一番は、このピチピチお肌とJKの可愛らしさからあふれる女の色気よ。


女の色気・・ 何言ってるんだコイツ!


あらー?  あんたドラクエやって喜んでたじゃない!  


???


マル〇ィナにエッチな水着を着せてなかったっけ?


ななな・・・ なんで知ってるんですか?


つまり、セクシービームもスキルの一つってことよ♪  ドヤァ・・・


いや、セレネさん、もう絶対二十歳過ぎてますよね。


えっ?  そうだっけ?  やだーー  知らなかったわー。


(´・ω・)

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