第475話 ◆エロエロなヴォルルさん (その2)

◆エロエロなヴォルルさん (その2)


ミラーボールが回り始め、ステージにスパンコール衣装のグラマーな女性が現れた。


あっ・・  ヴォ・・ル・・ル  ええっ?


ステージ上の女性は、確かにヴォルルさんなんだけど、上半身がピーー(自主規制)じゃないの!


ちょっと、ヴォルルさん。 何やってるんですか!


あらあら、やっぱりセレネちゃん?


はい。


ちょっと、ひとステージ終わるまで待ってくれる。


えっ?  ええ、はい分かりました。


結局、あたしは待っている間ずうっと一番前の席で、ヴォルルさんのエッチな踊りを見ることになってしまった。


ヴォルルさんは、この世界中に200人以上いるらしいんだけど、それぞれの性格は少しずつ違うらしい。


ここにいるヴォルルさんは、踊りが好きでちょっとエッチなのかもしれない。



10分ほどでステージを終え、ヴォルルさんがあたしのところにやって来た。


なんでセレネちゃんが訪ねてきたのかは、だいたい分かってるわよ~。


そうなんですか?


ええ。 それで、あたしたちを集めて欲しいのよね?


はい。 けいちゃんを取り返すために、みなさんに助けていただきたいんです。


そうね、みんなもちょうど退屈しるみたいだし、よろこんで協力するわよ。


あ、ありがとうございます。


それじゃ、明日の10時に、またこのお店の前に来てちょうだい。 出来る限りの人数を集めておくからね。


はい。



ヴォルルさんと別れた後、あたしは何か大切なことを忘れているような気がしてならなかった。


ここまでは、わりと順調にことが進んできたはずだ。


自分のモヤモヤ感がいったい何なのか・・・ 



セーーーレーーーネーーー!


わかった!  アリシアだ。  アリシアのことをすっかり忘れていた。


これは、まずい!



いったい中で何してたのよ!  あたしが、ここでどんだけ待ってたかわかる?


ごめん、ごめん。


さっきなんか、変なおじさんから声をかけられて、あたし超困ったんだからね!


ほんっと、ごめん。  でも、ヴォルルさんに会えたし、1/10ヴォルルさんを明日までにたくさん集めてくれるって。


えーー  ほんとにー。


うん。 だからこれから宿屋探しをして、美味しいものを食べに行こう。


やったーーー♪ 



***


ヴォルルさんがいたお店があった歓楽街を抜け、少し東に行ったところに宿屋が数軒が並んでいた。


お金はたくさん持ってきたので、その中で一番きれいな宿屋に決めた。


部屋で少し休んでから、遅めの夕ご飯を食べにアリシアと再び街に出た。



ねえ、アリシアは何が食べたい?


うーん お肉♪


あー いいね。  元気がでそう♪



あたしたちは、お店を探しながらぶらぶら街を散策し始めた。


あっ  セレネ、あそこに「出し抜けにステーキ」って看板があるわよ。



なにそれ。 お店に入った途端にステーキが出てくるの?


アハハ それ、すごい。  ねぇ、行ってみようよ。


はいはい。  



アリシアはあたしの手をグイグイ引っ張って行く。


ここ半年で背も伸びたし、母親のララノアに似てきたように思う。


あと何年かしたら、もうあたしなんかとは話しをしてくれなくなるかもしれない。



セレネ・・  セレネってば!  なにボォーっとしてるのよ!  早く入りましょう。


あっ うん。



お店に入るとお肉の焼ける美味しそうな匂いがして、早速盛大にお腹が鳴る。


グゥーーーー


やだ、恥ずかしい。



いらっしゃいませーーー♪   ようこそ「出し抜けにステーキ」にーーー♪


ウエイトレスさんの明るい声が店内に響く。


あれ? でも、この声どっかで聞いたことがあるような・・・


二名様ですねー。 こちらの窓際の席へどうぞー。


当店のステーキは、バリうまかよ~!


んっ?


あーーーっ  もしかして葵さん?


えっ?  えーーー セレネさんなのーー?




***



ねえ、「出し抜けにステーキ」ってなに?


だって「いき〇りステーキ」は、商標登録されているかもしれないじゃないですか。


なるほどそれでなのね。


はい、コンプライアンスはしっかりしなければデス。


コンブとライス?


あーー もうボケなくてもいいです。


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