第445話 ◆天使の洗脳
◆天使の洗脳
「悪い天使はいねがーー、 はぐれ天使はいねがー!」
そう言いながら乱入してきた、あいつらにあたしは両腕をがっしりつかまれ、あの場所に連れていかれました。
あの場所とは、途中目隠しをされてしまったので、具体的にどこかは分からなかったのです。
そして、あの場所で両手両足を鎖で壁に繋がれました。
あの場所には明かりが無く、真っ暗でなにも見えません。 音もまったくしない、まるで無の世界のようでした。
誰かーーーー! 助けてーーー 怖いよーーー あたしはこの言葉を何万回も叫び続けたのです。
魔法を使おうとしましたが、なぜか発動はしませんでした。 何時間、何日経ったのか全く分かりません。
もう少しで気が狂ってしまうのだろうと思った時、暗闇の中に小さな明かりが見えたのです。
それは最初はゆっくり、そして急にスピードを上げて、あたしに近づいて来ました。
その時は怖いというより明かりが見えたことに、ほっとしていました。
でも、それはほんとうの恐怖の始まりだったのです。
近づいて来た明かりは、提灯アンコウの発光器のようなもので、その本体からは無数の太くて長い触手が生えていました。
それは体長5mはある化け物で、あたしにたくさんの触手を巻き付けてきたのです。
その後の事は、とても人さまにはお話しできません。
たぶんあたしは、一時的に気が触れていたのでしょう。
ふと正気に戻ったとき、目の前にリリーが居ました。
彼女はあたしに神の名として、セレエルを授けると言いました。
そして石板にセレエルと文字を刻み、あたしを解放すると言ったのです。
これが、はぐれ天使事件の全てです。
セレエルさま、セレエルのエルとは神という意味ですよ。 セレネさまは、これでほんとうの天使になられたのです。
石板に名前が刻まれたので、セレエルさまは神の力を授かり、いままで以上にパワーアップしているはずです。
そうですかサリエルさん。 教えてくださってありがとうございます。
このあと以前のセレネに戻るまで、ひと月近くの時間を要したことはほかでもない。
そしてサリエルが言ったとおり、セレネの魔力は10倍近くに跳ね上がっていたのだった。
***
結局、触手怪物ってなんだったんですか?
もとは天使だったらしいです。 堕天使が行き着くところまで堕ちて怪物になったと聞きましたけど定かではありません。
で、セレエルさんは、そいつに具体的に何をされたんですか?
いやーーー 思い出したくなーい!
ふひひ それなら勝手に想像しちゃいますよ。
だめーーーっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます