第413話 ◆アリシア噛まれて爆裂魔法を放つ

◆アリシア噛まれて爆裂魔法を放つ


ヴァンパイアと言っても、何万年もの間に代を重ねるうち、その力はどんどん失われていった。


従って誰かを吸血しても、その者を同族に出来るほどの力はもうないのだ。


チェイスも、せいぜい吸血してから1時間ほどの間、相手を自由に操れるくらいしか力がないのだ。



ニーナも最初に吸血されてから、ほぼ1時間で正気に戻っている。


港からお城まで歩くとちょうど1時間弱なので、危機一髪で正気に戻ることが出来たのだった。



チェイスがもう一度ニーナの首筋に牙を立てようとした時、シルフが飛び出しチェイスの顔に体当たりをかました。


ぎゃーー


シルフは体重が軽いのだが、体当たりしたスピードが半端ないため、チェイスは痛みに大きな悲鳴をあげる。



きゃっ お母さん・・・  ニーナを守るため捨て身で飛び込んだシルフを見てニーナが驚く。


母が危険から子を守ろうとする場合、自分の命など気にかけない。 どんなに強い相手でも勇敢に立ち向かって行く。


それはシルフもセレネも例外では無い!


二人の剣幕に恐れをなしたチェイスは、入って来た城の門に向かって逃げ出した。



するとちょうどタイミング悪く、広間にのこのことアリシアが入って来た。


アリシア、危ない!


えっ?



アリシアが状況が分からず驚いて立ちすくんでいるところへ、チェイスが牙を剥いて襲い掛かった。


カプッ


あれっ?  あたし噛まれた?


噛まれた上に血を吸われたアリシアの瞳から精気がドンドン失われて行く。


我が下部よ。 ここで奴らを足止めしろ!  絶対にここを通すな!


は・・い。  わかりました。



アリシアはチェイスの命令の通り、直ぐに防御壁を張り出入口を塞いだ。


そして、右手を前に差し出すと掌に魔力を籠め始めた。  右手は直ぐに眩い光を発し、その光はみるみる大きな球体となる。



みんな逃げて!  アリシアは爆裂魔法を使う気よ!   セレネが大声で叫ぶ。



我がエルフ族の誇りにかけて我が魔力の全てよ、目の前のゴミどもを焼き尽せ!


エクスプローション!!


ピカッ  ドォーーーーン


ゴォォォーーー



ヒューー  まったく原子爆弾かよ!



あーあ こりゃ修理にどんだけかかるんだ?


大広間は跡形も無く吹き飛び、お城の中核となる塔は今にも崩れ落ちそうだ。



アリシアが悪いんじゃない。 チェイスと言うヴァンパイアが悪いんだから気にしないでいいよ。


セレネ・・・


うん、だからお金だけだして。  アリシアって貯金たくさんあるでしょ?


へっ?  だって、あたしは操られてただけで・・



いや、思い出した。 あたしたちのこと「目の前のゴミども」って言ったし!  常日頃から思ってないとあの詠唱は唱えられないんじゃね?


ねぇ、お願いだから修理費用を出してよ。


い、いやよ!  


あ゛ーー  それじゃあ、お城は壊れたままでもいいや。  どうせアリシアの部屋のところが一番崩れ落ちそうなだけだし。


あたしの部屋は、別の塔で影響ないしね~。


そ、そんなーー。



また、セレネがアリシアのことを揶揄っていますが、どこまで本気なのか・・・


***


やった、今回は文字数多かったんじゃない?


いや、たいして変わってないし!


う、うるさいなあ。  スマホから読みやすいように工夫してるんだよ。  ほんとうだよ。  ←うそ

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