第405話 ◆意外な関係
◆意外な関係
お城の広間では、重い空気が立ち込めていた。
なにしろ寝たら夢の中でインキュバスに襲われてしまうかも知れないのだ。
しかも襲われたら、悪魔の子を身籠ってしまう。 女にとって、これほど恐ろしいことはないだろう。
セレネ、ほんとうに寝ぼけてたんじゃ無いのよね? アリシアがあたしの目を覗き込みながら言う。
うん。 それは無いよ。 これを見てよ。 あたしもさっき気が付いたんだ。
そう言って、あたしは首筋に赤く着いた、インキュバスの爪のあとをみんなに見せた。
あたし悪魔の子を産むのなんて絶対にいやよ!
でも、夢の中じゃ抵抗できないですね。 どうしたらいいんでしょう? ニーナが困った顔で考え込む。
そうだね、1日くらいなら寝ないでも平気だけど、まったく眠らないなんて出来ないものね。
悪魔除けのお札とか無いのかな? なんだか寝るのが怖くなってきちゃた。
あたしは、この世界にインキュバスがいたのを昨日初めて知ったのだけど、みんなは何か知っていたの?
あたしは知らないわ。 アリシアは小さいからインキュバスを知らないのは当然だろう。
それ、聞いたことあるにゃ!
ほんとう? ミミさん、詳しく教えて。
実際に見たことはないけど、友達の友達がインキュバスの子どもを産んだって話しを聞いたことがあるにゃ。
その子どもは、悪魔だったの?
にゃんでも子どもを連れてどこか遠くに引っ越してしまったので、わからないにゃ。
ふ~ん でも、やっぱり妊娠はしたんだね・・
エイミーは何か知ってる?
いいえ、あたしも初めて聞いたわ。
リアムは?
おれも、あちこちの国へ行ったけど、インキュバスってのは聞いたことがないなあ。
有益な情報が得られないまま、時間がどんどん過ぎて行く。
みんなが暗く押し黙る中、サリエルがけいちゃんを連れて広間にやって来た。
ねえ、サリエルは、インキュバスのことって何か知らない?
インキュバスがどうかしたんですか?
うん、昨日の夜あたしの部屋に出たんだよ。
あらら そうなんですか。
そうなんですかって、インキュバスのこと知ってるの?
ええ、知ってますよ。
なんですと? 今なんと。
だから知ってますって。 セレネさまは理解力に欠けるところがありますよね。
インキュバスは、わたしが真ん中の島で謹慎生活を送っていた時のお茶飲み友達です。
ええっ、茶飲み友達?
ハイ♪ でも最後にお茶を飲んだのは確か134年前ですね。
どんだけ記憶力がいいんだよ!
えへへ それほどでもないですよ。
いや、別に褒めてないし! でさ、サリエルさんに頼みがあるんですけど。
セレネさま、なんでしょう?
その茶飲み友達なんだけどさ。 ここに居るみんなを妊娠させて、この国を乗っ取るって言いやがったのよ。
なんですと?
おい、あたしの真似するなよ!
ほんとうにインキュバスがそんな事を・・・
だから、みんな寝られないんで何とかしたいんだけど、どうすればいいと思う?
わかりました。 このサリエルが何とかしてみます。
サリエルは、きりっとした顔でそう言ったのだが・・・
***
男の子はエッチなサキュバスが自分の夢の中に出て来ないかななんて思ってたりしてませんか?
うつ伏せに寝るとエッチな夢を見る確率が高くなるという傾向があるらしいですよ。
腹部や胸部が圧迫されて呼吸が浅くなるのと関係があるようです。 ほんとかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます