第394話 ◆ドルフ級宇宙戦艦 散る
◆ドルフ級宇宙戦艦 散る
数日後の夜。 ここは、お城の裏山の山頂。
お城の照明用に使っていた電球(フィラメントはエジソンのを真似た)を30個使って円形に並べ、周りを金属の板で囲って特製ランプが完成した。
電源は水車小屋の発電機から直接線をつないだのと簡易電池を20個補助でつないだ。
あとはスイッチをオンオフして、モールス信号を送る。 これぞ元祖2進数じゃないか。
ルイは夜空をクルリと見回して、θ星の宇宙船がいないか確認するが残念ながら見えない。
ってか、こんなに星がたくさん出てたら、宇宙船なんて分からないだろって突っ込みを入れたくなる。
発信する文書はティアが電信文に直して読み上げるのを聞いて、ルイがスイッチのオンオフをする。
単純なオンオフでは無く、トとツー(長押し)があるのでちょっと難しい。 あたしはこういうのは苦手だ。
あまり長い間は出来ないので、10分間隔で6回やって今日は終わりにする。
この夜、気の毒なことにルイとティアは寝言でも電信文を言い続けていたらしい。
そうして5日目の夜。
3回目の電信が終わったあと、星空の中にキラリと何かが光った!
兄さま、あれを見て!
あの光跡は間違いない! θ星のドルフ級艦だ。 やったぞティア!
兄さま早く誘導を!
おお、そうだった。
ルイは、電球のオンオフで仲間の船を誘導する。
星空の中にいたその光は、みるみる大きくなりながら近づいて来た。
兄さま、これでお家に帰れるわね♪
ああ、ティア。 良かったな。
二人が恋人のように抱き合って喜んでいると・・・
ドォーーン
なんとθ星の宇宙船が大音響と共に爆発し、バラバラになって海に落ちていった。
ああっ ・・・なんで・・
まさか!
θ星が飛んで来た方角にオレンジ色に光る小さな点が三つ、ジグザグ飛行をしながらこちらに向かって凄いスピードで飛んで来る。
やはりあの動きは、β星のタイプⅢ! みなさん、ここは危険です。 直ぐに避難してください!
ドドォーーン
ルイの言葉が終わらないうちに、あたしたちの直ぐそばが大爆発する。
うわーーーっ!
・・・
命からがらお城に逃げ込むが、宇宙船からのビーム攻撃は続き、お城全体が激しく振動する。
このままじゃ、お城が壊れちゃう!
アリシア、コリン君、結界を張るから一緒に来て! ヴォルルさんたちが、広間から螺旋階段を上って塔の最上階へ向かう。
あたしも行きます! ニーナも直ぐに3人の後を追って広間を出て行った。
すみません、僕たちの所為でまたご迷惑をおかけしてしまいました。
ううん。 気にしないで。 それよりβ星の奴らって、本当に酷いよね!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・ あたしは怒りが沸々と湧いて来た。
・・・
ヴォルルさんたちは、お城だけでなく城下町全体に結界を張って行く。
4人で張った結界は、かなり強力で3隻の宇宙船からのビーム攻撃をことごとく弾き返す。
しばらくして、攻撃が通じないと分かるとβ星の宇宙船は、星空の中へと飛び去って行った。
少しして4人が広間に戻って来た。 あたしは、なにも活躍できなかったのでちょっと悔しかった。
なんだ、今回はあたしの出番がなかったねーー。
ふん セレネが来てたら足手纏いになるだけだったわよ!
相変わらずアリシアは、小憎らしいことを言うので、とっ捕まえて こめかみグリグリの刑に処してやった。
ぎゃー ビーム攻撃より痛いよーーー!
これからしばらく、セレネ王国は平和な日が続いたのだったが・・・
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