第392話 ◆サクラ大戦? (←パクッちゃダメだよ)

◆サクラ大戦? (←パクッちゃダメだよ)


O型は大雑把な性格と思われがちであるが、それは自分ひとりだけの場合とか、どうでもいいような話しの時であって、大勢の人が関係するようなケースでは意外と細かい。


従って、お花見の事前準備もバッチリだったこともあり、今は開拓記念館の裏庭の中で一番大きな桜の木の下で、みんなでワイワイやっている。


お酒が入ってほろ酔い状態になってきたら、みんなに一発芸をやらせたりしようと企んでいたりもする。


こうして場を盛り上げようとする(大半はスベルけど)のもO型の特徴の一つである。 



お花見と言っても花を見て楽しむグループとお酒が飲めれば何だってイイというグループの二つに分かれるのは、どこでも同じである。


うちらは、ヴォルルさん、エイミー、リアム、ミミさん、サリエルの蟒蛇うわばみグループと残りの健全青年少女グループだ。


・・・


今日はコリン君が、農場で育てているトンボ鳥を絞めて唐揚げを作ったり、回転アルマジロのケバブや特大ヤシガニのボイルなどを用意してくれた。


アンディがコリン君を連れて行かなくて、ほんとうに良かったと心から思う。


こうしてあたしは、ご馳走をバクバク食べるので、血の滲むような努力をしてきたダイエットも一瞬で無に帰すのである。



けいちゃんとメイアは、そこら中を駆けずり回っている。 何が楽しいのか分からないが、そのパワフルさがうらやましい限りだ。


ティアとルイは兄妹なのに恋人みたいに、唐揚げで「あ~ん」をしている。  双子って宇宙人でも仲がいいんだなと思う。



はい、ティア。  あ~ん。


お兄さまったら・・  あ~ん  んっ?


ティアが差し出された唐揚げを食べようとした時、一瞬空にきらっと光るものが見えた。


あっ  あそこにUFOが!


なんだって!  ティア、UFOはどこだ?


お兄さま、あそこに。


ルイが右手を目の上にかざし、太陽光線を遮ってティアがゆび指した方をじっと見つめる。



まずいぞ、ティア!  あれは、β星のタイプⅢだ!


ええっ!  どうしてこんなところに?


まさかと思うが・・・


それは、あたしたちの星が負けたという事でしょうか?


いや、そうと決まったわけではない。  でもここでやつらに見つかるのはまずいな。  ティア、こっちへ。



あれー?  何やってんだあの二人?


ティアとルイが、怖い顔をしてあたしの方に駆けて来る。



セレネさん、ここにいるのは危険です。  直ぐにお城に戻りましょう!


おま、何言ってるの?  これからご馳走で酒盛りって時なのに。


いや、上空にβ星の船が見えたんです。


β星?


僕たちの星と争っている星なんです。


でも何でβ星のUFOが?


おそらく彼らもこの星の調査にやって来たのでしょう。


ねえ、ルイ。  あなた、こっちが本当のキャラ?  もしかして普段、おバカキャラを作ってたの?


しまった!


兄さま・・・


・・ 実は僕とティアは、θ星の王位継承者なんです。


θ星はβ星と争いながら、それぞれ科学技術を発展させてきたのですが、そのせいもあって星の環境が最悪の状態なんです。


それで移住できる星を探していたのですが、それはβ星も同じで奴らもこの星に調査にやって来たようなのです。


僕たちは平和主義者ですがβ星の奴らは凶暴なので、この星に移住できることが分かったら、先住民は皆殺しにされると思います。


それが本当のことならば、たいへんなことです。 あたしたちの星とあなた達の星では、科学技術に相当の差があるわ。


もしも攻めてこられたら、ひとたまりもないでしょう・・・



今はβ星もこの星の調査を開始したところだと思います。  だから、奴らに捕まってサンプルとして調査されるかも知れません。


だから皆さんも早く非難した方がいいと思います。


調査っていえば、ルイもティアもあたしに何か酷いことしなかったかしら?


あれは本当に申し訳なかったと思っています。  でも僕たちには、残された時間がもう少ないのです。



凡その事は分かりました。 でも、この状況でみんなが撤収に納得するとは思えないわね。


ほら、見て!


そう、もうみんなは、宴たけなわ状態のどんちゃん騒ぎが始まっている。


ここはとりま、あたしに任せて。   「とりま」=「とりあえず まぁ」



ニーナ、ちょっと!


なんですかママ?


悪いんだけど、この辺一帯に結界を張って欲しいんだけど出来る?


はい、どのくらいの結界にすればいいですか?


最強のやつでお願い。


わかりました。  ニーナが結界魔法を詠唱し始めると辺りは銀色のドーム状の結界に覆われて行った。




さて、このお花見の1日の所為で、この後たいへんな事になるのをセレネは知らないのだった。


次回以降に続く・・・

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