第391話 ◆サクラ、サクラ

◆サクラ、サクラ


季節は春。  春と言えば花見の季節である。  そしてこっちの世界にも桜はあった。 


厳密に言えば、桜によく似た花であるが。


そして桜と言えば、お花見である。  てか花見しかない。



淡いピンク色の可愛らしい花びら。  儚いほど短い花の命。  ああ、まるであたしみたい・・・


セレネさま、頭だいじょうぶですか?


ちっ  今いいとこだったのに。


サリエルは悪気はないのだけれど、いつも最悪のタイミングで最悪のコメントを放ってくる。



サリエルさん、もうすぐ桜の花が満開になるので、みんなでお花見に行きましょう。


はい♪


だからサリエルさんは、コリン君と一緒にお弁当作りを担当してください。


はい♪   ♪~♪~♪


サリエルは、ご機嫌で鼻歌を口ずさみながらどこかへ歩いて行ってしまったが、日にちとか教えていないけど大丈夫なのか?




全員参加するとして人数は、え~と・・・


あたしとシルフ、ブラック、ニーナ、メイアでしょ・・・


それとヴォルルさんにコリン君、サリエル、けいちゃん、ミミさん・・・


エイミーとリアム・・・ティアとルイ・・・


全部で14人か・・・



ちょっと、セレネわざとやってるでしょ!  なんでこのあたしがカウントされてないのよ!


あっ、いけね。  アリシアを入れるのすっかり忘れてた~ (鼻ほじ)


きぃーー  


うそうそ、冗談よ。  アリシアさんには、持って行くお菓子の用意を担当して欲しいんですが。  いかがでしょうか?


そ、それならいいわ。  このあたしに任せなさい!  


プププッ  単細胞。



あとは、ヴォルルさん用のお酒だけど、以前大失敗したからなあ・・・


(実はセレネが飲み過ぎて、サリエルが嫁になった経緯がある)


こっちの世界には、お酒に関する法律が無い。  当然この国にも細かな取り決めは無いのだ。


だからお酒は、各自の判断で飲んでいる。




お花見の準備をみんなにだけ頼むのも気が引けるので、その他のことはあたしが担当することにする。


もしも、何もしないとアリシアとかサリエルが、あとからグチグチ言いそうだし。



あと必要なものは・・・ 地面に座るからゴザみたいな敷物とお手拭きと・・・お箸や取り皿にコップとか?


あたしは、たいして使わない物でも気になってしまい、持っていかないと安心できない性格だ。


例えば修学旅行に行ったときのあたしの旅行鞄は、みんなの3倍くらいの嵩かさがあった。  


さすがに枕までは持っていかなかったけど、大半がこんなものいったい何時使うんだと笑われたものだ。


・・・



ねえ、シルフ。  お花見をするのにいい場所を知らない?


開拓記念館の裏庭がお薦め。


そっか、あそこは確かに穴場だよね。  よし、そこに決めた!  シルフ、サンキュー♪



荷物運びは、メイアに頼むとして・・・  現地の準備は、ティアとルイに頼もうかな。



こうして、お花見の準備は着々と進んで行ったのだが、楽しいお花見があんな事になろうとは・・・



ちょっと気になるけど次回へ続くのだ。

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