第331話 ◆ごにゅっ? ですか・・
◆ごにゅっ? ですか・・
こっちの世界では、同性同士の結婚は普通にあるらしい。
現にあたしは、シルフやブラックやサリエルの女子たちと婚姻関係にあり、子どもも二人生まれている。
まあ、女は子どもを産めるんだけどアンディとコリン君の場合は、いったいどうなるんだろう?
見た目はコリン君が女の子っぽいけど、子どもが産めるかとなると体の構造上無理だろう。
まあこの話はいずれ詳しくするとして、今はロロ君のお母さんドラゴン救出の時の話しをしたいと思う。
・・・
ロロ君とあたしは上空から二隻の船を追跡していた。
船のスピードは意外と遅く、これは商船タイプの船のエンジンが非力なことが原因だと思われた。
これはおそらく比較的数が多いイルカ型をエンジンに使用しているからなのだろう。
船の速度が遅いのは仲間が合流できる時間が稼げるので有難いが、反面ロロ君は船に合わせて遅く飛ばなければならない。
だから船の上空を旋回しながら船を追いこさないように速度調整をしている。
それにしても船を追跡してから既に3日経っているので、ロロ君も疲れが溜まってきて少々ヤバイ状況だ。
食事は例の携行食糧で何とかなっているし、水もモッフルダフから買った雲の水分を抽出する機械で賄っている。
この二つは、旅のお供の必需品だ。 冒険者セットとして売り出せば結構売れるかもしれない。
・・・
ガクンッ
わわっ
ついに疲労困憊のロロ君が寝落ちして、海に向かって真っ逆さまに落ち始めた。
あたしは、振り落とされないように首にしっかりしがみついて、首筋をペチペチ叩きロロ君を起こす。
ロロ君、起きなさい! このままでは海面に激突するよ!
いざとなったら、自分も飛べるけどロロ君を見捨てるわけにはいかないし、このまま船の傍に墜落すれば今まで密かに追跡してきた努力が水の泡だ。
ロロ君、起きて! こらっ! 起きろっ! このやろーー! だんだんと口が悪くなる。
もう船からは、こっちの姿が捉えられる距離まで落下してる。
仕方がないなあ。 あたしは、まだあまり使い込んでいないが氷結魔法でロロ君の首を冷やしてみる。
ギャィ!
ギャィ?
ちょっと威力が強すぎたのか、ロロ君は変な声で一声啼くと体を翻し急上昇に転じた。
あたしは、まるで航空自衛隊のブルーインパ〇スのパイロットになった気分で少しハイになる。
イーーヤッホーーー! 星まで飛んでけーーー! このやろーー!
いたわよ! ←アリシア
いましたね。 ←コリン君
セレネさん変わってませんね。 ←アンディ
はずかしい。 ←シルフ
だっこ~ ←メイア
うん? あ、あれ? みんないつの間に? や、やだなあ~ 来てるなら早く声をかけてくれればいいのに・・・
かけたくなかったの。 知り合いだと思われたくないし!
あっ・・いいっ! アリシアのいつもの責め! 3週間ぶりだわ~!
そんなのどうでもいいでしょ! で、ロロ君のお母さんはあの船の中なのね?
其の筈よ。
じゃあ、ちゃちゃっとやっちゃいましょ!
ちょっと待ってください!
なによ。 コリン君は黙ってなさいよ!
いや、あの船はどこかの国の軍艦ですよ。
それがどうしたのよ。 ドラゴンを不当に拉致してるんだから攻撃されたって文句は言えないでしょ!
僕たちはセレネ王国の政治を担っている者ですよ! それが他国の軍艦を攻撃すればどうなるか分かりますか?
え~っと・・ 戦争?
そうです。 だから迂闊にこっちから攻撃は出来ません。
だったらどうすればいいのよ?
それは・・・ 難しい問題ですね。
う~ん わかったわ! いい、よっく聞きなさい!
要はあたしたちがセレネ王国の人間だって分からなければいいんでしょ。
それならこっちが名乗らなければ、絶対にどこの誰だかなんて分かるはずないんだから、黙ってやっつけちゃえばいいのよ。
だからダメですよ。
なんで?
セレネさんは、仮にも女王様ですよ。 今まで内外のたくさんの人に会っています。
つまり顔が知れてるんですよ。 こっちが名乗らなくても、向こうが知っている可能性があるんです。
それは、僕らだって同じことですよ。 わかりましたか?
ぐぬぬぬ・・・
ちょっと待って。 コリン君、アリシアの考え方って悪くないわよ。
セレネさん、それはどういう事ですか?
つまり、ごにょごにょっでしょ。 それでね、ごにょごにゅっ・・でどうかしら?
ごにゅ?ですか・・・ まあ確かにそれならば・・・
さてさて、セレネの作戦が気になった方は、次回を必ず見てね~♪
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