第314話 ◆全員集合

◆全員集合


アリシアたちが真ん中の島に着いてから更に一週間後、モッフルダフたちの船が島に入港してきた。


モッフルダフは、あたしたちが天界から無事に赤ちゃんを連れ戻して来たことをたいそう喜んでくれた。


正直なところ、天界に行って帰って来れる確率は良くて3割だと思っていたらしい。



アンディは、さっそくモッフルダフに航空会社の立ち上げについて、相談に乗ってもらっていた。


モッフルダフは、アンディが作った企画書を読み終えて、これなら自分も出資するから是非やってみればと賛成してくれたそうだ。


もしも、企画書通りに飛行船の高速運航ができれば、船の5分の1の時間で大陸間を移動できるようになる。


つまり半年掛かるところを1ヶ月ちょっとに短縮できるのだ。


しかも船のように揺れないし、海獣などに襲われる危険も無い。


ただし中継基地の維持費や人件費が運賃を高くする。


人々がどちらを選ぶのかが、起業の成否に係わってくるのだ。


あたしは、ちょっと新幹線と飛行機の輸送競争に似ているなと思った。


・・・


アンディはこの真ん中の島に残って、引き続き航空会社の立ち上げに取り組むことになった。


オフィスは、ヴォルルさんの邸宅の一室を引き続き借りられる。


というか、ヴォルルさんが色仕掛けで引き留めたと噂されている。  ちなみに噂の発信元はアリシアのようだ。



そして、モッフルダフは商売のために、あたしの国がある大陸まで一緒に行く。


あたしたちも、アンデッド戦の戦利品である海賊船でセレネ王国を目指すのだ。


何と言っても今度の旅は、けいちゃんも一緒だ。  こんなに嬉しい事はない。


この子がプリンスになるのかプリンセスになるのかはまだ分からないけれど、明るく元気に育って欲しい。


国に帰ればニーナやコリン君やエイミー達も、サリエルやけいちゃんを見て、きっと驚くことだろう。


さあ、早く仲間が待つあたしの国へ帰ろう。



第十三部 完

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