第312話 ◆真ん中の島にて
◆真ん中の島にて
真ん中の島には、あたし達が一番最初に着いた。
これはモッフルダフがフィアスをあたしたちに貸してくれたからだ。
もっともモッフルダフは、まりあ先輩の国の周辺国を回り、商売をした後にこの真ん中の島へ寄るので、当然あたし達より遅くなる。
あとはヴォルルさんとアリシアだが、こちらはそろそろ到着すると思われる。
正気に戻ったアリシアと再会するのはちょっと楽しみだ。
今度は、いったいどんなツンデレを見せてくれるのだろう。
・・・
真ん中の島でアリシアたちを待っている間、天界以外あまり外に出たことがないサリエルのために、いろいろな所に連れて行く約束をしていた。
もちろん、けいちゃんの抱っこ係りとしての役目もあるのだけれど。
けいちゃんは、あたしのおっぱいをたくさん飲むので、体重もどんどん重たくなった。
けいちゃんは、基本サリエル似だ。 金色のサラサラな髪、透き通るような白い肌、ブルーの瞳。
やっぱり、あたしに似なくてよかったと思う反面、ちょっと悔しい気持ちにもなる。 ←本当はよく似ています。
街中で知らない人に会うと、けいちゃんがあたしの子どもだと思う人は全くといっていいほどいない。
一度なんかは、あたしが抱っこしていたら、あたしがサリエルの使用人だと勘違いされてしまった。
その時は、サリエルの方を睨んで、ガルルルと唸ってやった。
(一般人はサリエルの天使オーラのフィルタがかかるため仕方ないのです)
・・・
この真ん中の島にはヴォルルさんの家があるので、あたしたちは今、ヴォルルさんの家に滞在している。
そしてヴォルルさんの家では、何時ぞやのリリーさんに縛られたメイドさんが留守を任されていて、あたしたちの面倒もみてくれている。
このメイドさんが作ってくれるお料理がとても美味しい。 腕前は、うちのコリン君といい勝負だと思う。
メイアもシルフたちも大満足のようだ。 特にメイアは、おかわり制限なしでかなり懐いている。
そして、あたしは産後で元の体系に戻さなければいけないのに、じわじわと太りだして焦っている。
贅沢かもしれないけど料理が美味しすぎるのも考えものだ!
こうして、そろそろ本格的にダイエットをしようと悩み始めたときに、アリシアたちを乗せた船が港に着いた。
船に掲げた人魚族のプラチナフラッグを見て、港町の人々がざわめく。
そして船の甲板にいるヴォルルさんの姿を見つけて、お祭り騒ぎになった。
なにしろヴォルルさんは、この島を統治している領主様なのだから。
港は出迎える人々で溢れかえり、商店街の人たちが屋台を出したりで、本当のお祭りみたいになった。
あたしたちも、早速アリシアたちを出迎えに港に出かける。
人混みをかき分けて桟橋まで行くとアリシアがあたしに気づいて駆けて来た。
セレネーーー!
アリシアー、せっかく治ったのにそんなに走ると危ないよー!
セレネ、セレネ。 赤ちゃん生まれたんでしょ?
うん、もうずいぶん大きくなったよ。
えっ、どこにいるの?
ああ、いまヴォルルさんの家にいる。 メイドさんが子守をしてくれてるんだ。
早く会いたいわ。
ってか、なにそのデカ乳とぜい肉!
キタキタキターーー! さっそく頂きましたぁーーー
やっぱり、アリシアはこうでなくっちゃね。
どうやらアリシアが元に戻ったようなので、次回へ続く・・・
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