第277話 ◆回収しなくちゃ!

◆回収しなくちゃ!


昨日は不覚にもリリーさんに、エロい写真をいっぱい撮られてしまった。  しかも自ら協力した格好になってしまって超悔しい!


あの恥ずかしい写真が出回る前に、なんとか回収してしまわねばならない。



あたしは、最初にカメラを見つけた2階の部屋をもう一度探してみることにした。


あとから思うに、もしかしたらあの部屋はリリーさんが使っているのかも知れない。


ならば、まだあのクローゼットの中にカメラが置いてある可能性がある。



部屋の外から聞き耳を立ててみるが、物音は聞こえない。


ドアをそおっと押して中の様子を窺う。  今日もこの部屋には誰もいないようだ。


入ってすぐ横のクローゼットをそっと開くと棚の上にカメラと望遠レンズが乗っていた。


このカメラに間違いはない。  あたしは、そっとカメラに手を伸ばした。



セレネさま!  こんなところで何をなさっているんですか?


誰もいないと思っていたので、不意を突かれた格好になり、あたしは飛び上がって驚いた。


うわはは、はいいーー!


いやーー  この部屋ってなかなか落ち着きがあって素敵だなぁ・・と


その恰好でですか?


いや、これは・・・


(しまった、つい裸に金の鎖だけで別荘内をうろついてしまった)


しかも、昨日の日焼けローションの効果もバッチリで、肌が真っ赤になってエロさが倍増している。


なんだか、AVの撮影中と言ったら信用されそうなシチュだ。



ここは、セレネさまのお世話をしている間、あたくしが使わさせていただいております。


もし、お使いになられるのでしたら、べつのお部屋に移りますのでおっしゃってください。


あーー いや  別に使うとかないし。  すみません、なんか。


そうですか、かしこまりました。  下のダイニングに朝食のご用意が出来ておりますので、お着換えが済みましたらおいでください。


リリーさんが、深々とお辞儀をして階下へ向かおうと背を向けた。



あっ、リリーさん、ひとつ聞いてもいいですか?


はい、なんでしょうか?


このカメラで昨日あたしのことを撮ってましたよね?


いいえ、そのようなことはいたしておりません。


(しれっと否定、キターーー!)


いやいや、体にオイル塗ってもらってた時、シャッター音たくさんさせてたじゃないですか。


なんのことでしょうか?  そもそも両手でオイルを塗っておりましたので、シャッターを切れる状態ではありませんが。


あれっ?  そう言われてみれば・・・ シャッターボタンを押したらカメラにオイルがついちゃうな?


ご納得いただけましたでしょうか。



あっ、ついでにもう一つ。  オイルを塗るとき、リリーさんこの鎖を外しましたよね?


いいえ、それが外れないことは、セレネさまが一番よくご存じではないですか。


はれっ?  いやいや・・ 鎖を外して写真撮ってたじゃないですか!



わかりました。 セレネさまは、オイルをお塗りしたときに居眠りをされてましたので、きっと夢をごらんになられたのですわ。


(うわーーー  この人あくまでも誤魔化し通すつもりだーーー!)


(でも、証拠はないしな・・・)



そうだ!  あの、あたしも写真を撮ってみたいので、よかったらそこのカメラとレンズ貸していただけませんか?


はい、どうぞ。  それでは、あとでフィルムを装填してからお持ちいたします。


ああ、あたしフィルムの装填もしてみたいんで、あとでフィルムだけ部屋に持って来てくれますか?


・・・ かしこまりました。  そのようにいたします。


やったぜ! ←心の声



こうして、あたしはカメラを自室に持って帰った。


あとはフィルムを入れ替えた時に、今入っているフィルムを没収すればミッション完了っと。



あたしはカメラの回収が思ったよりうまくいったのでご機嫌だったのだけれど、この後それが思い過ごしだとわかってショックを受けたのだった。

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