第276話 ◆仕掛けたつもりが・・・

◆仕掛けたつもりが・・・



確かリリーさんがあたしを見ていたテラスはこの部屋にあるはずだよね。


その角部屋には鍵もかかっていなかったし、あたしとリリーさん以外には別荘に人はいないので、普通にドアを開けて部屋に入った。


部屋には、大き目のベッドと丸いテーブルがあった。  それ以外はドアの横にクローゼットがあるだけのシンプルな寝室という感じだ。


当然使われていない部屋なのだが、空気の入れ替えをしているのか、テラス側の窓は開いていた。


海から吹く風が部屋の白いカーテンをひらひらと揺らす。


特に変わったところは無いか・・・


部屋を出ようとしたが、クローゼットの扉が少しだけ開いているのに気づく。


何とはなしに、その扉を引いて中を見ると棚の上にカメラのようなものと望遠レンズが置かれていた。


あの筒状の物は、望遠レンズだったのか。  つまりリリーさんは、たぶん別荘の2階のテラスからあたしをカメラで盗撮していたのだ。


いったい何のために・・・  ていうか、あんな姿の写真を欲しがる人は、この世界にヴォルルさんしかいない!


やっぱり、リリーさんは分裂したヴォルルさんの中の一人に違いないとあたしは確信した。



それでは、どうしたら正体をつかむことができるのかを真剣に考えてみる。


結論としてはこうだ。


写真を撮っているのだから、その写真を押さえて証拠を突きつける。


そのためには、絶対に撮りたいと思う恰好ポーズを研究して実践し罠にかけるのだ。


ギチ ギチ


くっ  しまった。  こんなのでも反応するのかよ。



それから、あたしはいろいろ考えてみたが、なかなかそのようなシチュエーションが浮かばない。


しかたがないので、せっかくのプライベートビーチという贅沢を満喫しているのだから、サンオイルを塗ってめいっぱい日焼けして真っ黒になろうと考えた。



これがビンゴだった。


リリーさんにサンオイルを用意してもらって、自分で腕から塗り始めたら即効でリリーさんがやって来た。


セレネさま、よろしければ、あたしがお塗りいたしましょうか?


いや、自分で塗れますから。  リリーさんを少々焦らして観察してみる。


サングラスをしていると視線が分からないので、マジマジと顔を見ると明らかにエロい目であたしを見ている。


そんな、ご遠慮なさらずに、あたしがやらさせていただきますから。


リリーさんは、そう言うとあたしから強引にオイルの入ったビンを奪った。


トロ トロ トロッ


リリーさんは、掌にオイルをたっぷり垂らすといきなり、鎖骨からぬるぬると塗り始めた。


あっ・・・


オイルって人に塗ってもらうと超気持ちいい。 


ぬるぬる ペタペタ ぬるぬる ペタペタ


気持ちの良さと眩しい陽ざしで、思わず目を瞑ると


パシャッ  ペタペタ  パシャッ  ぬるぬる  パシャッ


なにやらオイルを塗る間にシャッター音がする。


そぉっと薄目を開けてみれば、撮っていました。 いつの間にか首からかけたカメラで!


これは気が付かない振りをして、もう少し撮らせてからカメラ毎証拠を押さえよう。



トロ トロ トロッ


ぬるぬる ペタペタ ぬるぬる ペタペタ


にゅるん


ふっ 


やばっ  そ、そこは・・・


ぷるるん もにゅっ  ぬるぬる


はぁんっ


カシャッ カシャ カシャ カシャ カシャ


くっ  連写してるしぃーーー


ちょっと鎖が邪魔なので、取りますね?


ええーーー  この鎖って外れないんじゃないの?


ジャラ ジャラッ


うそっ、外れた?



ぷるるん もにゅっ  ぬるぬる


ぷるるん もにゅっ  ぬるぬる


ふっ


はい、セレネさま、今度は背中側をお塗りしますので、うつ伏せになってください。


あたしは中途半端に日焼けしたくなかったので、素直にうつ伏せになった。


ぬるぬるぬる  すぅーーー  ぽんっ


たゆゆん  すぅーーー  ぷるるんっ


ふぅーー


カシャッ カシャ カシャ カシャ カシャ


あーー あたし、ほんとの全裸写真撮られてるーー


ぬるぬるぬる  すぅーーー  ぷるるんっ


はぁ~  んんっ   ピクピクッ


カシャ カシャ カシャ カシャ


ビクン  ピクピクッ


・・・

・・


サァーーー  ザザーーッ


波の音が聞こえる。  どうやらあたしは、あまりの気持ちよさで、ウトウトしていたらしい。


そっと目を開ければ、もうそこにはリリーさんの姿は無かった。


しまった!  証拠を押さえられなかったじゃん。


ジャラ ジャラッ


あれっ?  しかもまた鎖がからだに巻き付いてるぅーーー!



ちょっとエロかったので、次回へ続く・・・

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