第273話 ◆金の鎖
◆金の鎖
あの~ サリエルさんでしたっけ? ちょっとお願いがあるんですけど。
なんでしょう?
サリエルさんの謹慎が解けるのは、3か月先なんですよね?
そうですが、それが何か?
謹慎が解けるまでは、あたしたちを解放していただけませんか? 逃げたりせずに港町のヴォルルさんの家にいますから。
それはダメです。
なんででしょうか?
前に一度、婚約者に逃げられたことがあるんです。 その時も今と同じことを言われました。
だから天使と言えども疑わしきは疑えと学んだんです。
あたしは、なんだか疑り深い天使は少し嫌だなと思った。
でも、あたしには娘もいますし、このまま一度も会わずに天界とかに連れていかれるなんて、酷いと思いませんか?
サリエルさんは、天使さんなんですよね!
こんな行いを謹慎中にしている事が神様に知れたら、それこそ一生堕天使のままになりませんか?
あぅ・・・ そうか・・・ それはまずいですね。 わかりました。
それじゃあ・・
いいですよ。 解放します。 ただし、これを首に付けさせてもらいます。
そう言ってサリエルさんは、金色の長い鎖をあたしの首に一度撒いてから、クルクルと残った鎖を体中に巻き付けていった。
ちょっ なんだかこの鎖の巻き方エロくないですか?
そんなことはありません。 心が穢れているとそう感じるかも知れません。
ちっ、どうせあたしは穢れの塊ですよ。 ←心の声
例えば、おやつは大きい方を取ります。 自分よりカワイイ女の子には少し意地悪したくなります。
こういうのは、心が穢れているのでしょうか?
ま、まあ、そのくらいでは穢れてはいないと思いますけど。
それでは、話が面臭い天使がいると死ねばいいのに、このクソ天使がとか思ってしまうのは、心の穢れでしょうか?
・・・ あなた、それってわたしのことをからかっていますね!
いいえ、この金の鎖の巻きつけ方のことで、お話しさせていただいていただけですよ!
そうそう、その鎖は嘘をついたり、他人を妬んだり傷つけたりすると、巻かれている人の体を絞めつけるように出来ています。
ギチギチギチ
くっ
そ、そういう事は巻き付ける前に言ってくださいよ! 本当にバカなんですか!
ギチギチギチ
ぐぉっ
ちょっ、苦しいです。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 これって、どうしたら緩むんですか?
それは簡単です。 良い事をすれば、絞まった分だけ巻き戻ります。
!! サリエルさんはとってもお美しいですね。
ギチギチギチ
くわっ
言っておきますけど、見え透いたお世辞なんかを言うと絞まります!
・・・
こうして、あたしたちはヴォルルさんの家に戻ることを許されたのだけど、身に纏っているのが鎖だけというのは、猥褻物陳列罪になりそうなのでシルクのローブを貸してもらった。
シルフとブラックさんは、ボールから出してもらえたので嬉しそうだけど、この二人の所為であたしがこんな目にあっているのは理不尽じゃないか。
家着いたら少し虐めてやろう!
ギチギチギチ
ああっ、しまった!
次回へ続く・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます