第271話 ◆天使とKISS♪

◆天使とKISS♪


天使さんは、スゥスゥと寝息をたててぐっすり眠っていた。


もしここに黒のマジックがあったら、おでこに’肉’とか’犬’とか書いてしまったかも知れない。


それほど、天使さんは深い眠りについているようだった。


少しくらい体を揺すっても全く起きない。


耳元で、「お~い天使さん、起きてくださ~い」とお願いしてもピクリともしない。


いったいどうしたら目を覚ましてくれるのだろう。


もしかしたら、眠れる森の美女のオーロラ姫のように、くちづけをすれば目を覚ましてくれるかな。


あたしは、天使さんがあまりにも美しいので吸い寄せられるように、そっとくちづけをしてしまった。


う・・うん


そっと唇を離したとたん、天使さんは目をパチリとあけた。  そして叫んだ!


なななな・・・なんてことをするんですか!  わたし、初めてだったのに・・・  もう、責任とってくださいよ!



ええっ 責任って・・・ どうすれば・・・


わたしは、いたずらが過ぎて神様から下界へ落とされたんです。  あと少しで謹慎が解けて天界に帰れるところだったんですよ!


でも、あなたがわたしの唇を奪った。  もしこれが遊びだったら、わたしは本当の堕天使になってしまうじゃないですか!


だから、責任を取ってもらわないと困るんです。 



まいったなぁ・・・  あたし結婚して子供がいるんですけど。


いいんですよ。 一夫多妻でも。  わたしを妻にしてくれれば、罪にはならないし罰はあたえられない。


そうしてくれれば、あと3か月で天界に帰れるんです。


そ、そうなんだ。


でも、もしも天使さんと結婚したら、あたしはこの後どうすればいいんですか?


わたしと一緒に天界に来てもらって神様にお会いしてもらいます。  神様のおゆるしを頂いたらわたしの夫として天界で暮らしてもらいます。


そんな・・・  それにあたし一応女なんですけど。 


この世界では、どっちが夫とか妻とかは決まっていませんから大丈夫です。


そうなんですか・・  でもですね、天界で一緒に暮らすのははっきり言って無理です。


はぁ?  あなた、自分で何をしたのか自覚がないんですか?   天使のくちびるを無理やり奪ったんですよ!


それで、責任も取らないで逃げるんですか。  それでは、わたしはもう天界には帰れないじゃあないですか。


それは素直に謝罪させていただきます。


いいえ、そんなのはダメです。 


天使さんは、そう言うとあっと言う間に、あたしのことをあのボールのような物に閉じ込めてしまった。



ああ、またしてもやらかしてしまった。


ついこの間、アリシアの顔にいたずらして反省したばかりなのに、なんで自分はすぐに余計なことをやらかしてしまうのだろう。


ボールに閉じ込められて、つくづく自分が嫌になる。 



あのぉ・・ 天使さん。  こんなところにあたしを閉じ込めてどうするんですか?


あなたには、わたしの謹慎期間が過ぎるまで一緒にここにいていただきます。


そして3か月経ったら、わたしと一緒に神様に会っていただき、夫婦として天界で暮らすことのお許しをいただくのです。  


ええっ まさかの天国住まい?

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