第253話 ◆戦闘開始
◆戦闘開始
行き成り敵もアンデッドとは思えないような作戦をとって来た。
あたしは、港か浜辺のどちらかの一点集中攻撃を予想したのだけれど、敵は二か所同時攻撃の作戦で来たのだ。
一番デカい船が港に近づいて来て艦砲射撃を始めると同時に、ボートで浜辺に上陸して来たのだ。
こっちはアリシアが防御魔法を展開し、エイミーとコリン君が大砲で応戦。 シルフも光の矢を放つ。
最初のうちは、大砲の弾が相手の海賊船に命中したが、船が少し離れるとこっちの弾は届かなくなった。
一方、海賊船に積まれている大砲は、こちらよりも性能が良いようで、一方的に被弾し始める。
ドォーーーン
ババーーン
たちまち、アリシアの防御魔法だけでは厳しい状況になって来る。
セレネ、なんとかしなさいよ! あたしもう限界よ!
よし、僕が変わろう! コリン君がアリシアに代わって防御魔法を展開する。
アリシア、お疲れ。 少し休んで。
あーー しんどい。 防御するだけでは、こっちの負けね。
そうね。 だったらこれから反撃よ!
メイア、シルフ、行くよ!
オッケーなの~
メイア、海賊船を燃やすわよ!
シルフは、船のマストをへし折ってくれる?
わかった。 まかせろ。
敵に気づかれないように、高度をあげて上空から一気に錐揉み状態で突入する。
これは魔力を使って、しがみついていないと降り飛ばされてしまう。
海賊船まであと50mのところで、メイアが炎を吐き、シルフが光の矢を放った。
ドォーーーン
やった!
しかし急上昇しながら海賊船を振り返ってみれば、マストも無傷だし火災も発生していない。
なんで?
一瞬、どちらも海賊船に当たらなかったと思ったが、そうではなかった。
そう、敵も防御魔法を展開していたのだった。
これは、まずいわね!
セレネ、大砲をやる!
うん?
大砲を撃つとき、防御できない!
そっか、発射の瞬間を狙えばいいのか・・・ でも、船に真っ直ぐ向かって行かなければならないよ。
やるしかない!
そうだね。 確かにやるしかないね。
メイアいい?
オッケーなの~
できるだけ、海面すれすれに飛んで!
もう、向こうの世界なら空自でF35Aでも乗りこなせるんじゃない、あたし。
メイアは、みるみるうちに海賊船の左舷に迫る。
左舷の砲が、あたしたちに照準を合わせて来るのがわかる。
見てなさい! 点火した時が、おまえらの最後だから。
そこからは何故かスローモーションを見ているようだった。
海賊船の左舷の砲門が一斉に火を噴き、こちらもシルフの光の矢が、敵の砲門を撃ち抜いた。
海賊船の左舷から大きな炎があがった。
そして、あたし達も敵の砲弾を浴びた。
ザッバーーン
メイアには敵の砲弾が3発命中した。 しかも、あたしたちを庇って体を捻ったため、一番弱いお腹に被弾してしまった。
そして被弾したメイアは、ボロボロになって海の底へと沈んで行ったのだった。
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