第236話 ◆開拓者魂
◆開拓者魂
巨大蟻の大群の前にせっかく苦労して作ったマイホームが1日で跡形もなく壊されてしまった。
しかも船から持って来た色々な道具も、お祝いでもらった貴重な塩樽も一切を失ってしまった。
みんなさぞやガッカリしていると思いきや意外と元気だった。 これは若さなのか、はたまたただの能天気なのか・・・
まあ、いくらクヨクヨしたって元通りになるわけでは無いし、前向きに考えなければ開拓などやってられないか。
そう、これは開拓者魂ってやつだ。
あたしとコリン君が、これからのことについて話をしている間に、メイアとアリシアが川で魚を獲って来た。
魚といってもピラルクに似た巨大魚で、もしあたしが川で泳いでいたら反対に食べられていたかも知れない。
コリン君が、あたしのオリハルコンの短剣を使って魚をさばいてくれたので、みんなでお食事タイムとなった。
お腹がいっぱいになれば気力も知力も充実する。
食後に全員でこれからの事を話し合う。 民主主義ってやつだ。
まずは、新しい土地を探すか巨大蟻を殲滅させてもこの地に根を下ろすかを決めることにした。
そして、とりあえず意見は全員が述べることにした。
シルフ:よそに行っても結局今回と同じになるかもしれないので戦う
メイア:ここはお魚もお肉も美味しい
ニーナ:蟻さんに壊されないくらい頑丈なお家を作ればどうでしょうか
コリン:次はエクステリアもインテリアも、もう少し凝ったデザインにしたいです
アリシア:あたし面倒な事は考えたくないから、おばさまに任せる
セレネ:?? おばさまって? もしかしてヴォルルさん? そういえば、ヴォルルさんってプール以来見てないわよね。
船から降りたのも見てないから、今はモッフルダフと一緒じゃないの?
アリシア:セレネってば、まだまだ修行が足りないわね。 おばさまなら、セレネの頭の上にたかってるわよ。
えっ? ええーーーーっ!!
あたしが髪に手をあてると、一匹のてんとう虫がブ~ンと飛び出した。
それがアリシアの目の前まで飛んで行くと、ボンッという音とともにヴォルルさんの姿に変わる。
あらあら、アリシアなんかに見破られるとは思ってもみなかったわ~。
あ゛・・あ・・・ ヴォルルさん いったい いつからあたしにくっついてたんですか?
うふふ それはね ひ・み・つ
うぎゃーーー もしかして、お風呂もトイレも一緒・・・
ホホッ
イヤーーーーー!!
・・・
みんなの意見を総合するとこの場所が開拓拠点という事でいいんだよね?
あたしがクルリと全員の顔を見回すと一様に頷く。
それじゃ決まりね。
で、問題はあの何千もいる大きな蟻たちをどうするかだね。
何か良いアイデアのある人はいる?
ハイ ハーイ♪
はい、それではアリシアさん。
オッホン そんなの簡単よ! 女王アリを捕まえて遠くに捨ててくればいいのよ。
アリシアさん ナイスアイデア。 それでは、アリシアさんに実行をお願いします。
ちょっ! なんであたしがやらなくちゃいけないのよ! バカなの?
ふふふ 世間では一般的に言い出しっぺがやる事になっているのよ。 アリシアは、まだまだ世間知らずね。
↑
うそ
そ、そんなぁ・・
でも女王アリは巣の奥深いところにいるだろうし、他の働き蟻を全て倒すくらいの覚悟が無いと無理ですよね?
そう、それ それよ! コリン様たまには良い事をいうじゃないの。
セレネ、やっぱりアレよ。 女王アリを捕まえるのは無理。 コリン様が言うのだから間違いないわ!
チッ せっかく面白くなって来たところなのに・・・
ちょっとイラッとして、コリン君を睨む。
でもコリン君はあたしと目を合わせないように明後日の方を向いている。
あの~ 蟻さんたちに自主的に出て行ってもらうのがいいと思います。
うぇあぉ? お、思わず変な声が出てしまった。 ニーナさん、それはどういうことなの?
あたしの悪い遺伝子がニーナに受け継がれたのか、とんでもない意見がでたぞ。
例えば、蟻さんが嫌いなものを巣の周りに置くんです。
あたしが住んでいた世界には確かに蟻用の殺虫剤とかあったけどね~ (遠い目)
それなら、この辺にもあるかも知れない。
はい? シルフさん、もう一回お願いします。
殺虫草があれば、蟻が退治できるかも知れないと言った。
う~ん 最初の発言内容では、そこまでの理解は不可能でしたが・・・
殺虫草って虫を殺せる成分があるってことだね?
そう、ドラゴンでも死ぬかもしれない。
そんなに強い毒なの? そりゃあ間違って食べたら大変だね。
それは大丈夫。 猛烈な臭いがするので絶対に食べない。
そっか。 その臭いで退治するのか。 なかなか良いアイデアじゃん。 さすが、あたしの娘だね。
では、日が暮れるまでに手分けして殺虫草を探すぞーーー!
おぅ!
で、シルフに殺虫草の特徴(見た目や茂っていそうな場所、臭いなど)を聞いてみんなで探すことになったのだった。
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