第224話 ◆魔力アップ、バストアップ、ヒップアップ

◆魔力アップ、バストアップ、ヒップアップ


乙女の不覚であった。 遊びに行ったはずが、遊ばれてしまった。


ヴォルルさんの魔力が籠められたマッサージによって、あたしのスリーサイズは格段にレベルアップしたのだ。


施術前:160cm B:83 W:58 H:88


施術後:161cm B:88 W:56 H:90

      ↑

      ?

帰り際にヴォルルさんが、サイズアップ&ウエストシェイプアップで服が着れなくなるから持って行きなさいと新しい服と下着を山ほどくれた。


・・・


ヴォルルさんに開放され船に戻った時は、ヘロヘロでよたよた歩いていたので誰にも気づかなかったのだけれど、次の日にみんながあたしを見る目がちょっといやらしい。


特におっさん3人組みの視線は、ランランランドのお姉さんたちを見る目だ。


はぁ~ これは悪夢だ。 



いい、セレネちゃん。  あたしにマッサージされたら、その体は永遠に美しさを保てるのだからいっぱい感謝するのよ!


永遠って・・・ 婆さんになってこの体じゃキモイよ!  最後にヴォルルさんに言われた言葉を思い出し、独りで突っ込みを入れる。


男ども以外に意外にも喜んだのがメイアとシルフだった。


なんでも寝心地アップ、抱っこされた時のもにょりん感アップで高評価をいただいてしまった。


あたしには別に何の得にもならないんだけどね。



そして、いよいよ真ん中の島とのお別れの日がやって来た。


次の港は、いよいよ第二の大陸※のどこかの国になる。   ※実際には第三の大陸です。


この次もまた、いろいろな人との出会いがあるのだろうと思うとちょっとワクワクして来た。



みんなで最期の出航作業をしていると、ヴォルルさんが見送りに港まで来てくれた。


が、事件はここから起こった。


あたしがヴォルルさんにお礼を言いに行くと、ヴォルルさんが子供のようにダダを捏ねながら泣き出したのだ。


セレネちゃん、お願いだからわたしを見捨てて行かないで!


また、必ずヴォルルさんに会いに来ますから泣かないでください。


いいえ、そう言ってもう絶対に来ないのよ。  今までだって、みんなそうだったもの。


もうわんわん泣く!  


あたしが困っているとモッフルダフがやって来て、余計な事を言って火に油を注ぐ。


ヴォルルさん、次は5年後に来るから、それまでの辛抱です。


そんな・・・  それならばいっその事こうするわ!


わっ!


あたしは、ヴォルルさんに速攻で拉致されてしまった。


ヴォルルさんは、あたしを抱えて塔まで瞬間移動すると強力な結界を張った。


まったく、やれやれだよ。



あたしが連れ去られたのを知るとメイアが直ぐに飛んできて、塔の上を旋回し始める。


どうやらお友達が助け来たようね。


可哀そうだけどセレネちゃんを守るためには、こうするしかないのよ!


ああっ、ヴォルルさんやめて!


ヴォルルさんが持っていた杖の先をメイアに向けると、その先から光の矢が真っ直ぐにメイアに向かって飛んで行った。


その光の矢を受けたメイアの体が凍り付いたように固まって失速した。


ヒュー―ーー   ゴンッ


そして大きな音とともに、メイアが地面に落下した。


メイアーーー!  イヤーーーッ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る