第220話 ◆恐怖のサバイバルゲーム(その3)

◆恐怖のサバイバルゲーム(その3)


あたしは、ヴォルルさんにあっと言う間に蟻地獄の巣へ突き落されてしまった。


そして、巣穴に獲物が落ちて来たのを察知した蟻地獄の牙が、砂底から勢いよく飛び出て来た。


ギャーーー 怖いよーーー!


助けてーーーぇ!


ズザザザッ


蟻地獄は、どんどん近づいて来る。


対して、あたしの体は砂の中にズルズルと沈み込んで行く。


この状況は、他のみんなも変わらないから、誰も助けに来てはくれないだろう。


ここは自分の力で何とかしなければならない。  そう、冷静に考えている自分もいる。


ここはポイントが減っても飛行魔法で逃げるか、強く念じて火炎が出せるかを試すかの二択だ。


飛べるのはさっき一度やっているので最後の手段として、まずは炎が出せるかチャレンジすることにする。



アリシアもコリン君も確か指先から炎を出していたから、こうかな?


蟻地獄に向かって、右手を真っ直ぐに出し、強く念じてみる。


出でよ炎!  この指先が示す先にいる邪悪な虫を焼き尽せ!  ←中二病ではありません。


ゴォーーーーーッ


出た?  出た、出たーーー!


真っ赤な炎が蟻地獄に向かって凄い勢いで飛んで行く。


キュアーーーン


あたりに炎に包まれた蟻地獄の断末魔が響き渡る。


い、今のうちに・・・


あたしは、ちょうど目の前に突き出た蟻地獄の細長い足に掴まって、自分の体を砂の中から引きあげた。


そこを足場にして砂の壁に飛び移り、泳ぐように必至になって壁をのぼった。


1mのぼっては50cm下がる。 


それを繰り返しもがくこと20分、もう少しで体力の限界というところで、すり鉢の淵に手がかかった。


やった!  ずり落ちないように、両掌でそおっと体を引き上げる。


パンパカパ~ン 


一瞬そんな効果音が聞こえて来たような気がした。


は~い。  セレネちゃん、一等賞♪   ヴォルルさんが駆け寄って来る。


ほ、ほんとうですか?


うふふ  すごいすごい。  さすがわたしの弟子だけのことがあるわね~。


弟子って?  いつの間にか、あたしヴォルルさんの弟子になってるし。


タッチの差で、みんなが次々とクリアして来る。



ここまでの得点

          ピン倒し    一本橋   ターザン    巨大魚    蟻地獄    合計

1位:ヴォルルさん 100点   100点   100点   100点   100点   500点

2位:コリン君    99点    80点    70点   -10点    70点   309点

3位:キャロンさん  86点    60点    90点   -10点    80点   306点

4位:シルフ     85点    70点    60点   -10点    50点   255点    

5位:メイア     83点    40点   -10点    90点    40点   243点

6位:ニーナ     88点    50点    80点   -10点    30点   238点

7位:アリシア    97点    90点   -20点   -10点    60点   217点 

8位:セレネ     71点   -10点    50点   -10点    90点   191点


信じられない。 なんで、あたしが7位なの・・・


アリシアが怒りでワナワナ震えている。


あたしはそれを見て、最後の種目でアリシアを抜いてやろうと心に誓ったのだった。

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