第213話 ◆優しくしてね
◆優しくしてね
隣の部屋があたしのベッドルームなのよ。
さあ、行きましょうか。
あああ、あの。
なあに?
あたし、3日ほどお風呂に入っていません。
長い船旅では、水はたいへん貴重なため、節約する場合の優先順位はシャワーが一番低いのだ。
まあ、それはある意味ご褒美かしら。
ぎゃー これじゃ変態おやじじゃん。
まあ、どうしてもシャワーを浴びたなら、そっちがバスルームよ。
で、では 遠慮なく浴びさせていただきます。
あたしは魔法を解除してもらい一目散にバスルームに逃げ込んだ。
ど、どどどうしよう。 ここは窓も無いし・・・
それにしても豪ジャスなシャワールームだな~
光り輝く金ぴかのバスタブが目の前にドデンと置いてある。
もしかして、これって純金なのかな?
いかん、いかん いまはそれどころじゃなかった。
ここからは脱出不可能だし、とりあえずシャワーを浴びて時間を稼がないと。
服を脱いでひさびさに裸になる。
シャワー用のコックを捻ると水が出てきて、びっくりする。
きゃー 冷たい!
思わず流れ落ちる水の下から脇によける。
船にあるシャワーも水しか出ないのだが、配管がキッチンなどを経由して管路を長くしてあるので、これほど冷たくはない。
これじゃ冬の滝行みたいじゃん。
あまりの水の冷たさに、せっかくのシャワーも長くは浴びていられない。
サッと髪と体を洗いバスタオルでよく拭くと体がポカポカして来た。
さて、これからどうしよう。
そぉっとバスルームのドアを開けて隣の部屋を覗くと誰もいなかった。
きっとララノアのお姉さんは、ベッドルームに居るのにちがいない。
逃げるなら今しかない。
あたしは自分の服を抱えて、そろりそろりと音を立てないように出口へと向かった。
ドアの前まで辿り着く時間がとても長く感じる。
やっとの思いでドアノブを掴んで捻る。
ガチャッ
あれ?
ガチャ ガチャ
うふふ 開かないでしょ? いつの間にか背後まで来たのか女性が真後ろに立ってニコニコしている。
うぎゃー
残念でした。
・・・ あたしはもう言葉が出ない。
まあ、もう服まで脱いじゃって、かわいい。
こ、これは・・・ まさか全裸のままでも早く逃げようとしていたとは言えない。
さあ、諦めてこっちにいらっしゃいな。
また手を掴まれて、ベッドルームまで連れて行かれる。
ドサッ
そして裸のまま物凄く大きなベッドに寝かされてしまった。
いい子だから、そのまま少しだけ待っててね。
っていうか、また体が動かないんですけどーー
・・・
しばらくすると女性も一糸纏わぬ姿で現れ、あたしの隣に横たわった。
このままじゃ恥ずかしいでしょ。
ファサッ
薄くて軽い絹のような肌触りの布が掛けられる。
ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね。
むぐっ
えーーーっ 今度は声まででないよーーー ←心の声デス
ふっ う~ん
あ・・ふーーっ
う・・・あぅ・・ふぅ~ ううっ
あ゛ーーー い、いたい ちょっ 痛いんですけどーーー! ←心の声デス
・・・
・・
・
よく頑張ったわね。 えらいわ~。
ふ~っ
あたしは全身が汗でびっしょりになっていた。 こんなに汗をかいたのは火の山の洞窟以来だ。
さあ、これであなたも魔法を使えるようになったわ。
えっ? ほんとうですか?
って、声がでる。
そうよ、わたしの魔力の1000分の1をあたなに分け与えたから、アリシアなんかよりは強力かしら。
そ、そんなにですか、 でもなんで?
実は妹からアリシアを預かってもらってるお礼がしたいって相談を受けていたのよ。
でも、あなたは宝石とかお金とかは興味がないでしょ?
まあ、そうですけど・・・
それで、わたしの有り余る魔力の一部をあなたに差し上げたってわけ。
それであんな事を・・・
いえ、別に裸になる必要はなかったんだけどね~
はあ? なんですかそれっ?
だから最初にいったじゃない。 わたしはプリプリプルルンの女の子が大好きなのよ。
あなた、最高にお・い・し・かっ・た♪
・・・い・・いやーーーー!
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