第205話 ◆キャロンさん救出される
◆キャロンさん救出される
セレネ、あそこ!
わわっ
メイアが突然向きを変え急降下し始めた。
急降下するスピードが速すぎて振り落とされないように必死にしがみつく。
薄く広がった雲をずぼっと抜けると、そいつは視力左右0.7のあたしの目でも捉えることが出来た。
あたしは、もう少しでメイアの背中で失禁してしまうところだった。
いや、マジでちょっとだけ、ちびったかも知れない。
そいつの目の前には、キャロンさんが乗っているボートが米粒の様に小さく浮かんでいる。
もしも海坊主が浮上しなければ、キャロンさんは発見できなかっただろう。
モッフルダフが海坊主と呼んだそいつは、直径が300mはあると思われる。
ほぼ球形の体には、上から3分の1くらいの高さに、ぐるりと目が100個ほど並んでついている。
口はというと巨大なものが前後に二つあり、それはまるでホオジロザメのように鋭い歯が何列も並んでいる。
後から分かったことだが、そいつはどうやらクラゲが進化した生物らしい。
そしていま、まさに海坊主は口を大きく開け、キャロンさんをボートごと飲み込もうとしていた。
もうダメにゃあ~~~
絶対絶命の状況にキャロンさんは目を瞑った。
キャロンさーーーん メイアの足につかまってぇーーー!
にゃっ?
メイアがボートと海坊主の間へ急降下で突入する。
バッ
さすが、獣人目ねこ科だけのことはある。
キャロンさんは、ボートの床を強く蹴ってジャンプし、メイアの足にギリギリ掴まった。
助かりましたにゃああ~
眼下を見下ろせば、ボートはもう海坊主の口の中でバリバリ音を立てながらかみ砕かれている。
あ~あ あのボート、まだ新しかったのにね。
無事に船に戻ったキャロンさんを見てみんな喜んだが、しばらくはコリン君に代わってアリシアから弄られるんだろうなとあたしは気の毒に思った。
キャロンさんは、真っ先にモッフルダフに駆け寄ってフライング土下座で誤っていたけれど、その姿は ねこの伸びにしか見えなくてちょっと笑えたのだった。
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