第164話 ◆コリン君責められる!
◆コリン君責められる!
キャロンさんは、あの事件以来コリン君と通路ですれ違う際に、「シャッー」と言うようになった。
あとからコリン君の話しをよく聞けば、先にお風呂に入っていたのはコリン君だし、どっちかっていうとキャロンさんに非があると思う。
まぁ、あたしが元居た世界では、痴漢冤罪など男性に不利な状況が多かったし、こちらの世界でもそうなのかも知れない。
コリン君の落ち込みようが酷くて見てられないので、なんとかしてあげたい気持ちはあるんだけれど、しばらくは女性不審状態だろうから、しばらくそっとしておこうと思う。
でも、アリシアがコリン君を見つけると、結構エグイ表現を使って罵っているようなのだ。
そして、今日もまたやっている。
あたし、コリン君の作ったハンバーグはもう食べられないわ! だってアレを ピィーー(自主規制)した手で捏ねた肉なんて絶対に嫌よ!
う・・うわーーん
あ~あ、 7歳の女の子に15歳の男の子が泣かされてるよ~。
ちょっと、アリシア。 もうやめなさいよ! あれは不可抗力だったんだから。
えー でも、見たくもないものを見せられた側としては、もう少し痛めつけておいた方がいいと思うわ。
あーー そうか。 これは、あたしがマストから落ちた時と同じ思考だな。
ツンデレ属性 プラス S属性か? なかなか厄介な方向に育っているようだけど、今から軌道修正も難しそうだなあ・・・
ならば、キャロンさんの方から、コリン君を許した発言をしてもらうっきゃないだろう。
事件の被害者(加害者かな?)が許せば、きっとアリシアもおとなしくなるに違いない。
でも、正直あたしもキャロンさんの「シャーー」威嚇は怖いので、なかなか動けないでいる。
いったいどうやってキャロンさんに話しをすれば良いのだろう。
キャロンさんの立場になって見れば、恥ずかしいところを見られて動揺したに違いないし、思い出したくもないと思う。
あ゛ーーー もう、マジでわかんないよー!
ママ、わたしにいいアイデアがあります。
うんうん悩んでいた、あたしの後ろからニーナが声をかけて来た。
本当に?
はい♪ 絶対に上手くいきますよ。 ニーナは天使のような笑顔で言った。
で、あたしは、何をすればいいの?
先に言っておくけど難しいことは出来ないよ。
うふふ それは、とっても簡単なことです。
皆さんが集まって食事をしている時に、わたしが全員に忘却魔法をかけて、あの日の事を記憶から消してしまいます。
おぉっ、 それはグッドアイデアだね。 さすが、あたしの娘だ。
でも、少しだけ問題があります。
あーー やっぱり・・ 何かあるんだね?
え~と 記憶をピンポイントで消すのは、まだわたしには出来ません。
と言うと?
あれから、5日経っていますが、あの時から忘却魔法をかけた時間までの記憶が全て消えてしまいます。
ちょっと待って! それって、5日間の中で記憶が無くなったら困る事があるとまずいって事だよね?
はい。
航海中なので、そんなに重要な事は無いと思うけど、一人ひとりに確認するわけにもいかないし・・・
おっさん3人組は置いといて、シルフ、メイア、アリシア、コリン、キャロン・・・
モッフルダフは・・ あっ 航海日誌があるね。 5日間分の記録はあるけど記憶が無いと不審に思うかな?
ママ、それでは5日間分の航海日誌を見てみましょう。
そうしよう。 天気くらいしか書いてなければ全然OKだよね。
・・・
あたしとニーナは、モッフルダフが3時のおやつを食べている間に、こっそり船長室に忍び込んだ。
あっ、ありましたよ航海日誌。 ニーナが直ぐに日誌を見つける。
どれどれ・・ ページを5日前までめくってみる。
あちゃーー ニーナどうしよう。
どうしたんですか?
ほらっ、ココ!
まあ・・
なんと5日前のページには、コリン君とキャロンさんのトラブルが事細かに記載されていたのだ。
まったく、官能小説じゃないんだから、こんな表現で記録を残さなくったっていいのに!
なんだか急に腹立たしくなってプンスカ怒っていると廊下から足音が聞こえて来た。
ヤバイ! もう、戻って来ちゃったみたい。
ど、どうしよう、ニーナ。
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