第137話 ◆海賊の宝(その2)

◆海賊の宝(その2)


みんな集合ーーー!


あたしの掛け声に、シルフ、ニーナ、メイア、アリシアが何事かとわらわらと集まって来る。


みんな退屈なのだ。


実は、モッフルダフから今度の港の近くに海賊の宝物が眠っている島があることを教えてもらいましたーーー!


ちょっ  みんななんで行っちゃうの?  本当だってばーー   みんなは、つれなく去っていく。



ねぇ、聞いてよ!  この話しには、なんと人魚のモモちゃんが絡んでいますよーー 


そのひと声で、またみんなが わらわらと集まって来る。


ちっ、 あたしはどんだけ信用ないんだよ。  自分の時のことは棚にあげ、みんなの反応を非難する。



では説明しま~す。


その島には、干潮の時にしか現れない入江に続く穴が出現するそうです。


でも、その穴を通って入江に入ろうとすると人魚族が出てきて邪魔をするため、未だに入江に入れた人はだれ一人いないそうです。


みんな、コク コクと首を振って真剣に聞いている。


それで、先日モモちゃんに貰ったこのネックレスを見せれば、人魚族が入江に入れてくれるかも知れないそうでーす。


ちょっ なんでみんな行っちゃうのよ!



みんな退屈じゃないの?


いいわよ!  あたし一人で行くから。


絶対に面白いんだから。  あとでもう一度行きたいって言ったって連れて行かないんだからね!



だったらメイアもいく~


じゃあ、あたしも~  アリシアも乗って来た。


それなら、わたしも行きます。  ニーナも参加決定。


焼きもち焼きのシルフさんは、どうするのかな?  


それならシルフもいく。


よっしゃーーー!  全員参加決定ーー!



こうして、海賊の宝物ツアーが企画決定したのだった。


・・・


マストに登って遠くを眺めていたら、やっと港が見えて来た。


目を凝らせば、確かにその沖合に小さな島影も見える。  あそこが海賊の島かぁ。


でも、この大きな船では島の近くへは行けないだろうなあ。


メイアにお願いするとしても、3人はちょっときついし・・・


マストから下りるとモッフルダフが居た。


ねぇ、モッフルダフ。  島にはこの船で行けないよね?


そうですね。  この船では浅瀬や岩礁があって無理です。


だったらどうしたらいい?


あれを使えばいいですよ。


そう言って、モッフルダフは救命ボートを指さした。


だって、あれは非常用でしょ!


いいえ、今度みたいに島に上陸するときにも使います。  久しぶりに海に降ろすので、浸水しないか点検が必要ですが。


ふ~ん。 で、あたし達がそれをやらされるってことか・・・


あっ、ちょっと用事があるので、これで失礼します。


ボートを降ろすときは、スヴェンとラッセが手伝いますから、言ってください。


モッフルダフは、スタコラと消えて居なくなった。  都合が悪くなった時の逃げ足は結構はやいな。



しばらくして船は、港に入る前に島の沖から300mくらい手前で錨いかりを下した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る