第135話 ◆歓喜、メイア帰還する

◆歓喜、メイア帰還する


ヒュゥウン


何かが風を切る音が聞こえ、次の瞬間、ドンッという衝撃を体に受けメイアは真っ逆さまに海へ落ちて行った。


メイアに体当たりしてきたのは、この辺りを縄張りにしている翼竜だった。


メイアはセレネに会えるという嬉しい気持ちがいっぱいで、翼竜が風下から飛んで近づいてくるのに全く気付かなかったのだ。


翼竜は自分の縄張りを守るのが目的なので、墜落していくメイアを見て自分の巣へと戻って行った。


・・・


メイアは突然体当たりを受け、大きくバランスを崩してしまった。


落下する際に、体当たりしてきた翼竜は目で捉えていたので、直ぐに体制を戻すのは止めた。


なぜなら、また自分に向かって威嚇攻撃をしてくるのを本能が告げているからだ。


海面スレスレまで、落下しながら翼竜が飛び去るのを見てから体制を立て直す。


なんと、あと50mで海面に激突するところだった。


メイアは目立たないように、海面ギリギリのところを飛び続けた。


もう目の前に船が見える。


メイアは甲板にいるセレネの姿を捉えた。


船まであと少し。 メイアはその場でグンと急上昇した。



・・・



ビュゥーーー


甲板に居たあたしは、海風の音とは違う落下物が風を切るような音を聞いた。


それは、頭の上から聞こえて来る。


ふと、上空を見上げれば、なんと幼女が落ちて来るではないか!


うわっ


メ、メイアなの?


思わず両の手を前に広げてキャッチしようとするが、あんなに凄いスピードで落ちて来る幼女をとても受け止められる気がしない。


わわわっ


でも、体は勝手に着地点を探り、甲板上を右往左往する。



そして・・


ストッ


つ、つかまえた。


何のことは無い、メイアが途中でスピードを落とすため、羽だけ出して空気制動をかけたのだ。


メイアーーー!


あたしは受け止めたメイアをそのままギュッと抱きしめた。


あ゛ーーん  あん あん


そのまま、しばし号泣タイムだった。


あたしの泣声があまりに大きかったので、みんなが何事かと集まって来た。


もう嬉しくて嬉しくて、いつまでも涙が止まらなかった。


メイア、もうどこにも行かないでね。


うん。 わかった。  セレネ大好き!  だけど・・・


だけど?


お腹が空いちゃったの。


メイアに聞けば、飲まず食わずでドラゴンの里から、2日間も飛び続けて来たそうだ。


それを聞いてあたしは、直ぐに船の厨房に下りて、メイアの大好きな料理をたくさん作ってあげた。



やっぱりセレネの作ってくれるご飯が一番おいしい。


そう言ってメイアは、にこっと笑った。


あたしはもう、幸せ過ぎて死にそうになった。


もうメイアのことは絶対に離さない。  そう心に固く誓った。

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