第100話 ◆二人のシルフ(その1)
◆二人のシルフ(その1)
写真を撮ってから気が付いた。
シルフ!! あなた、それいったいどうしたの?
よくよく見れば、シルフの全身に桃色の小さな斑点が浮き出ている。
あなた、どこか具合が悪いんじゃないの! 熱はない?
シルフのおでこに額をあててみて気付いた。 あたしはシルフの平熱をしらなかった。
熱いと言えば熱いし、熱が高いかと言えばそんなでもない。
どうなの? どこか痛いところとかある?
何を聞いても、シルフは黙ったまま俯いている。
一見苦しそうには見えないので、掌でそっと包み船室へ戻って、シルフのベッドに寝かせた。
メイアも心配そうにしている。
あたしは、今になってシルフが、どういう生き物なのかよく知らなかったことに自分でも驚いた。
メイアはドラゴンだ。
シルフは妖精なのかと言うと、あたしが勝手に見た目だけで妖精みたいと思っているだけだ。
シルフと同じ種族らしき者は、まだこっちの世界に来てから見たことが無い。
そういえば、最初にあった時、他にも仲間は居るのか聞いたら、悲しそうな顔をして首を横に振ったっけ。
あっ!
さっきシルフのお母さんの話しをした時も怒っちゃったし、この子の仲間は、もうひとりもいないのかも知れない。
もし、そうなら病気の症状とか知っている人もいないわけで、重い病気だったりしたら薬とか治療方法なんかも分からない。 これは、困ったぞ!
んっ? リアムは、妖精とKISSしたら、婚姻関係になるって知ってたっけ?
だったら、他にも何か知ってるんじゃない?
あたしは、急いでリアムの部屋に向かった。
コン コン
リアム! あたし、セレネよ。 ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?
返事は無いのだけど、部屋の中でゴソゴソ音がしてる。
ねぇ。 緊急事態なんで、ほんの少し時間取れない? お願いよ。
ギィー
ほんの少しの間まのあとにリアムじゃなかった、エイミーが顔をのぞかせる。
ご、ごめんなさい。 お取込み中だったのね。 ま、また後で出直して来ま~す。
あ、セレネ。 待って! 誤解よ、誤解!
え、でも~。
ほらっ、リアムもちゃんと言ってよ。
あーー 俺がズボンをマストの釘に引っ掛けちゃって、それでズボンが破けたところをエイミーが縫ってくれてたんだ。
そう言いながら出て来たリアムがパンツ姿だったので、あたしは恥ずかしくて、甲板に逃げ出した。
キャー リアムとエイミーのえっちーーー!
あれは、絶対にやってたな。 もう、早く結婚しちゃえばいいのにーーーー。
甲板に出たところで、肝心な事を聞きそびれたことに気づくが、二人にはもう1時間ほど猶予をあげよう。
あたしは、シルフの様子を見に自分の部屋に戻ることにした。
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