第101話 ◆二人のシルフ(その2)

◆二人のシルフ(その2)


写メを撮っていたら、シルフの全身に桃色の小さな斑点が浮き出ているのに気づいた。

いまは、大事を取って部屋のベッドで休ませているのだが、変な病気に罹っていなければいいと案じている。


シルフーー  具合はどう?  


返事は無いけど、シルフはおとなしくベッドで眠っているようなので、ちょっと安心する。

そぉっと、おでこに手をあてて、熱がないかチェックする。

うん、さっきと変わらないから大丈夫そうだな。 

あとで、シルフの好物のフルーツでも持ってきてあげよう。


セレネ・・


あ、起こしちゃった?  ごめんね、具合はどう?


はじめてだけど、だいじょうぶ・・・


ん?


セレネ、またポーチ貸して。


あぁ、うん。  いいよ、ちょっと待ってて。


まえのより、大きいのがいい。


う~ん。 あれより大きいのは無いけど、3WAYバッグじゃだめかな?


潰れてくるのはダメ。


そっかぁ・・・  あっ それなら中に支えを入れて潰れないようにすれば?


うん、それでいい。


3WAYバッグにフカフカなタオルを敷いてから、バッグの両側に大き目の板切れを入れて潰れないようにした。


これでいいかな?


セレネ、ありがとう。


もしかして、また脱皮でのするのかなと思ったけど、体調も思わしくなさそうなので特に何も聞かず、ベッドからバッグに移してあげた。


セレネ、3日待ってて。


うん。 わかったけど、何か食べなくても大丈夫なの?


心配ない。 だいじょうぶ。


そう言って、シルフは中からバッグの「かぶせ」を引っ張って閉じた。


・・・

・・


シルフが引きこもってしまったので、あたし以外メイアの遊び相手がいなくなってしまった。

退屈して暴れ出す前に、リアムに妖精に関することで何か知っていることが無いか聞いて来よう。


もう、あれから かれこれ1時間は経ったので、大丈夫だろう。 

通路に出て、リアムの部屋へ向かう。

ちょっと気まずいけど、シルフの情報入手にはかえられない。


コン コン


リアム・・ 居る?


おぅ、ちょっと待って今開ける。


今度は、すぐに出て来た。

あのね、前に妖精のこと知ってるみたいだったから、他にも何か知ってる事があったら教えて欲しいんだけど。


ああ、妖精とKISSするとヤバイってヤツか。


そうそう、それ!


悪いけど聞いたことがあるのはそれだけだな。


そう、わかったわ。  ありがとう。


で、なんでヤバイかって知ってるのか?


だって、KISSすると結婚しますって意味なんでしょ?


アハハ  普通はKISSぐらいで結婚なんてしないだろ。  実はもっとヤバイ話しがあるんだよ。


えっ、なに、なに?  ほかに何があるというの?


あたしは、すっごく不安になって、リアムの目を見つめた。

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