第68話 ◆防御魔法の人材探し
◆防御魔法の人材探し
あたし達のパーティーは、防御力が弱いという弱点を克服するために、防御魔法が使える人材を求めて、いったん鉱山の町へ引き返すことにした。
ねぇ、エイミー。 防御系の魔法を使える人って、どのくらいの割合でいるのかな?
そうだね~。 1、2%いればいい方じゃないかな。 基本、エルフ系ならマーブルやカイルみたいに少しは使えると思うな。
それって、エルフ系を探せばいいってこと?
うんまあ、手っ取り早くっていうならだけどね。
でもエルフは、もともと数が少ない種族だし、エルフの性質からみても町中にはあまりいないと思うよ。
そうなんだ・・ あたしは、ちょっとがっかりした。
鉱山の町の人口は3万人くらいらしいのだけれど、街自体が狭い街道の両側に沿って広がっているので、大勢の人と一度に出会う機会は少ない。
そんな状況なので、みんなで手分けして探すことにした。
人材探しはとても難航した。 見た目ではエルフ以外は、防御系魔法が使えるなんて見当がつかないからだ。
出会った人に片っ端から、防御系の魔法が使える人を知らないかを聞いて行く。
それでも、3日目に一人、5日目にもう一人が見つかった。
一人はエルフの女性で、この町に祭事で使うための大鍋を買いに来ていた。
もう一人は鉱山で働いている鉱夫で、地盤が緩い坑道を掘り進める際に落盤などが起きないよう、防御魔法で天井を支えているのだそうだ。
二人には、エイミーとリアムがダンジョン攻略の状況と報酬についてを説明し、ぜひ力を貸して欲しいとお願いした。
エルフの女性はララノアと名乗った。 透き通るような白い肌とエメラルド色の瞳、金色の長い髪で女神のように美しい。
その美しい見た目だけに、魔物と戦うのは無理だと断られると思ったが、意外にもパーティーに加わってもよいと言う。
ただし、エルフたちの祭りで祈りを捧げる役割があるので、合流できるのは10日ほど先になるそうだ。
鉱夫の男は、タケトと言った。 魔法が使えるとは言え、鉱山で働く男だけのことはあって、その体は筋骨隆々である。
タケトは、しばらく坑道の拡張作業が無いので長く休みが取れるらしく、こちらの都合に合わせて助っ人が可能という。
そこでエイミーとリアムがララノアの都合を聞いて計画を立ててから連絡することで、OKの返事をもらった。
結局、人材探しに要した時間とララノアの都合も含めて、20日も予定が遅れてしまった。
この遅れで、せっかく攻略した1層と地下1層にも、また魔物達が蔓延はびこってしまうかも知れない。
エイミーはララノアが合流できるまでする事がないので、いったんマーブルとカイルに会うために叔母さんの家に行くといって出かけていった。
モッフルダフとリアムは、昼間は町のトレーニングジムに通い、夜は居酒屋でお酒を飲む毎日を過ごしている。
あたしとシルフとメイアは、鉱山の町では遊ぶところも無いので、宿屋で卓球をしたり、手作りのボードゲームをして暇をつぶした。
そして、やっと待ち望んでいた日がやって来たのだった。
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