第59話 ◆盗まれた宝物
◆盗まれた宝物
広間を片づけてから、モッフルダフとエイミーにリアムを紹介するため、自分たちの部屋に向かった。
部屋の前まで来ると何だか騒がしい。
何かと思って部屋に入るとモッフルダフが木箱から宝物を出して、帳面と見比べている。
モッフルダフ、いったいどうしたの?
お宝が幾つか無くなってるんだって! エイミーがあわあわしているモッフルダフに代わって説明してくれる。
なんだか大変そうだな。 俺は出直して来た方がよさそうだ。
俺はこの廊下の反対側の一番端の部屋に泊まっているから、そっちが片付いたら呼んでくれ。
そう言い残してリアムは自分の部屋に戻っていった。
セレネ。 いまの誰?
ああ、メイアに卓球でコテンパンに負けた傭兵だよ。 あたし達の仲間にどうかしらって紹介しようと思って連れて来たんだけど。
へぇー ちょっとイケメンだったね。
ねぇ、宝物が無くなったってさぁ・・・ 昨日から部屋を開けたのは食事のときだけだよね。 あたしは話をいったん戻す。
泊まってる客は、みんな広間で一緒に食事してたし・・・ それに、みんなが食べ終わって広間を出たのは、ほぼ同時だったと思ったけど。
あ、あたしじゃないわよ!
やだなぁ・・ エイミーってば。 みんな命をかけてる戦ってる仲間じゃない。 みんなの事は家族とおなじくらい信頼してるよ。
ご、ごめんなさい。 あたしもよ。 でもいったい誰が・・・
う~ん。 あたし達以外だと宿屋の主人と使用人、あとは昨日から泊まっているリアムと商人の誰かか、それとも全くの外部の人間の仕業か・・・
はぁ~
無くなったものがわかったよ。 モッフルダフが溜息をつきながら、帳面に付けた大きな丸印を見せてくれた。
やだ、これって・・・ エイミーは何かに気づき、両手を口にあて驚いている。
そう、一番値打ちのあるものから5品盗られてる。 全体の約半分の金額になるくらいだよ~。
モッフルダフは、気の毒なくらい落ち込んでいる。
それって宝物の価値を鑑定できるってことだから、商人が怪しくない?
あたしも、そう思ったけど、ここに宝物があるってなんで知ってたのかな? エイミーは腑に落ちないといった顔だ。
う~ん。 でも、たまたま盗みに入って、この木箱を見つけたとか・・・
あっ 倉庫にしまった武器は大丈夫かな! あれってかなり高額なんだよ。
エイミーは傘も持たずに大慌てで、倉庫を確認しに出て行った。
フンフン クンクン
スンスン
気付けばメイアとシルフが鼻を鳴らして、部屋の中を嗅ぎまわっている。
もしかして警察犬?
ねぇ、二人とも。 なにか臭うの?
メイアは答えずに、鼻をクンクンさせながら廊下に出て行く。
シルフは、まだ部屋の中を鼻をスンスン言わせて、ひらひら飛び回っている。
二人同時に対応はできないので、メイアの後を追いかける。
メイア、ちょっと待って!
小学4年生は結構速く走る。 てか、そのスピードはオリンピック選手以上じゃないの!
あたしは、メイアに追いつくどころか、どんどん離されていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます