第53話 ◆1階層目(その5)
◆1階層目(その5)
周りの魔物は、セクメト(体は人間、頭はライオン)やアナンタ(頭は人、胴体は蛇)が多いようだ。
あたしは、大蛇に襲われたのがトラウマになっていたので、アナンタは超怖い。
遺跡では獣人にも襲われたけど、アナンタよりはまだましだ。
足が無いのに、どうしてあんなに速く動けるのだろう。 ぬめぬめ感がする鱗も見ると鳥肌が立ってしまう。
ただし、セクメトやアナンタは攻撃魔法は使えないため、戦闘が接近戦にならない限りは比較的戦いやすい相手だ。
こちら側は、モッフルダフ、エイミー、メイア、シルフ、あたしの5人なのに対し、魔物達は確認できただけで20体はいる。
つまり、一人で4体が最低ノルマということになる。
あたし達は、お互いの背が向き合うよう円陣になり、それぞれが自分の前の敵を倒すことにした。
戦いはセクメトの一匹が唸り声をあげてモッフルダフに襲い掛かったのを合図に幕を開けた。
モッフルダフは、鞭を器用に使ってセクメトを次々に倒して行く。
エイミーはマグナムをいとも簡単にぶっ放しているが、慣れない者なら衝撃で自分の腕を痛めてしまうだろう。
メイアやシルフは余裕で戦っている。 二人には、セクメトやアナンタは敵のうちに入らないくらいの雑魚キャラなのだろう。
あたしもみんなの足手まといにならないようにと、マシンガンの引き金を引くが、なかなか上手く当たらない。
敵もそう簡単にやられるはずは無く、左右に駆け抜けながら、あたし目掛けて突っ込んで来る。
キャーー こっちに来るなーーー!!
タタタタタッ タタタタタッ
怖くてほとんど目を瞑ったままマシンガンを撃ちまくる。
カチ カチ
当然、弾が無くなる。
そこに一匹のアナンタが恐ろしい顔をして、襲い掛かって来た。
体が竦んで、新しいマガジンをうまく装填できない。
ガクガクと体が恐怖に震える。
ダアーーン
エイミーが100mくらい離れたところから、アナンタを狙い撃ちにした。
ガンマンが良く風穴を開けてやるとか言っているが、ほんとうにアナンタの胸に大きな穴が開いているのを見て、あたしは気分が悪くなってしまった。
おまけに魔物は生命力が相当強いらしく、この状態でもまだズルズルとこちらに向かって来るではないか。
あたしは、もう回れ右をして、エイミーのところまで一目散に走った。
こうして、ダンジョン1階層目の前哨戦は、あたし達の圧勝に終わったのだが、あたしは一人敗北感をひしひしと感じていた。
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