第47話 ◆カイルとマーブルの叔母さん

◆カイルとマーブルの叔母さん


あたしは、エイミーから聞いたとおり、魔物が住んでいる密林、火の山の洞窟、最低最悪の荒くれ者の3つ全てを体験してしまった。


そして今は、カイルとマーブルの叔母さんの家に向かって、鉱山街道をひたすら歩いている。


火の山からこちらの南側地域は、魔物や魔獣もいないそうで安心だ。 それにお店がたくさんあって、必要なものは大抵手に入る。


やっぱり文明社会は、いいものだ。


衣・食・住・医が何とかなれば、住めば都。  自動車や電車やスマホなんかが無くても、ぜんぜんOKだ。




そういえば、服が制服一着しかないなぁ・・・  それにこっちの世界に四季があったら、今のは春・秋物だし。


行きがけに服屋さんがあったら覗いていこう。  メイアにも可愛い服を買ってあげ・・・


んっ?  メイアって変身した時に服は、どうなってるんだっけ?



メイア、ちょっとちょっと。  メイアに向かって手招きをすると、トタトタとこっちに駆けて来た。


幼女姿は、ほんとうにカワイイ。 癒されるーー♪   ひとりでキュンキュンしていると、メイアが何の用?と首をかしげる。


あぁぁ・・・ 本当に自分の娘にしてしまいたいーーー!  


って、あのね。 メイアの服ってどうなってるの?  今着ている服も昨日のとは違うよね。



あれは、自分の皮膚を魔力で服に変化させてるだけ。


いつの間に、あたしの頭の上に座ったのか、メイアが答えるより前にシルフが説明してくれる。


なんだ、どうりで頭が重いと思った。 そうか・・自分の皮膚・・あの硬いのが服になるのかぁ・・・


あ~あ、あたしも魔力があれば、いつでも好きな服を着れるのになぁ。



もしかして、シルフも同じことできたりするの?


シルフはできない。 でもセレネが作ってくれたコレがある。 


うぅっ こいつメッチャ可愛いい・・・  やっぱり正式に嫁にしよう!




鉱山の山々が、小さく見えるようになった頃に、ようやっとカイルとマーブルの叔母さんの家に着いた。


それは旦那様が手広く商いをやっていると聞いたとおり、とても大きなお屋敷だった。


これなら、子供が二人増えても全然問題ないだろう。


叔母さん夫婦もとても穏やかな良い人たちで、あたし達を大歓迎してくれた。


中でもモッフルダフは、商人達の間では結構な有名人で、さっそく叔父さんと商談に花を咲かせている。



あたしは、エイミーに本当にカイルとマーブルと離れて暮らしてもいいのか念を押した。


するとエイミーは、裕福で退屈な生活よりも、大変だけどスリルがあってワクワクするような事をしている方が自分に合っている。


だから、あたし達と一緒に旅を続けたいとお願いされた。



あたしに断る理由は無いし、むしろ大歓迎だ。


こちらこそよろしくお願いしますとエイミーと固い握手を交わした。


こうして、あたし達のパーティーに正式にエイミーが加わったのだった。

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