第46話 ◆トラブル発生

◆トラブル発生


次の日の朝、なぜだか朝早くに目が覚めた。


昨日の夜は、久々にふかふかの布団で眠った所為もあって、目覚めはスッキリ爽快だ。


みんなは、まだぐっすり眠っているので、独りで散歩に出かけようと思い着替えてから、そぉっと布団をまたいで出口へ向かった。


靴を履いてドアを開けたら、ガンッと言う音がしたので変んだなと思ったら、ドアの向こうで大柄の男がうずくまっていた。

うわぁ もしかして、あたしやっちゃった?


あのぉー 大丈夫ですか?

恐る恐る、大男に声をかける。


と、いきなり胸ぐらを掴まれた。 すごい力でグイグイ締め上げられる。


おめぇ、いったい俺様になんの恨みがあるってぇんだ!


ちょっ  痛いじゃない!  離しなさいよ!


あ゛ぁっ?  どうみてもそっちが悪いだろうが!  違うか姉ちゃん?


だから、謝るから離してっていてるの!


ふんっ


男は、あたしの胸ぐらを持ったまま、少し持ち上げてから、おもいっきり廊下の床へ投げつけた。


キャアー


ドサッ


床でしこたまお尻を打ってしまい、その痛さで声が出ない・・・



おらっ、姉ちゃん。 離してやったんだから、土下座して謝んな!


さっきまで、さわやかだった朝が最悪の朝になった。


でも、こっちに非があるのは明らかなので、ごめんなさい、すみませんでしたと土下座で誤った。


よし! それじゃ後は慰謝料だな。


はぁ? 何言ってるの?  本当はそんなに強くぶつかってなんかいないでしょう!


さては、最初からお金目当てだったのね?


なんだと!  優しくしてれば付け上がりやがって! 



部屋の前で二人で大声で言い争っていると男の部屋からもう一人ガタイのいい強面の男が顔をのぞかせる。


おう、ちょうどいいところに。  この姉ちゃんが、俺様の頭をかち割ってくれたんだ!


慰謝料が払えねぇっていうから、二人分体で払ってもらおうか!


そいつはいいな。 早く連れて来いよ。


よしよし、それじゃあ可愛がってやるからこっちに来な!


男はすごい力であたしの手を引っ張る。


やめて! 離して!  誰か助けてーー!


男達の部屋に引きずり込まれそうになった時、あたしたちの部屋から、メイアが顔をだして男達を睨む。


ひっ


それを見た男達が小さく悲鳴をあげる。


そう、メイアはドラゴンに姿を変えていた。


ガゥルル


ドラゴンの低い唸り声は、その場の空気を振動させる。


す、すみませんでしたーー


男達は、大慌てで自分たちの部屋に逃げ込み、内側から鍵をかけた。  そんな鍵なんか役に立たないけどね!


はぁーー  なんだか力が抜けてしまった。  今日は朝からついていないや。


メイア ありがとう。 助かったわ。


振り返ったら、メイアがもう幼女の姿に戻っていたので、抱きしめて頭を撫でてあげた。


この後、みんなも起きてきて、朝ご飯を一緒に食べたのだけれど、むしゃくしゃしていたあたしは、おかわりを5回もしてしまった。

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