会話集:ふたりごと

夕涼みに麦茶

最強議論

(なあ、よくバトル漫画とかで話し合われるけど、真に最強の能力って何だと思う?)

「相手を即死させる力 とか?」

(それだと 不死身の力 の前では無力だろ。)

「じゃあその 不死身の力 が最強なんじゃない?」

(ところがどっこい、その 不死身 を持ってしても、 相手を操る能力 を前にしては全てが無力なんだ。)

「それならその」

(しかし、 相手を操る能力 を持っていても、 即死の力 の前ではお飾りでしかない。なんてったって、即座に相手を死に至らしめる力だからな。)

「でも 即死の力 発動前に 操る力 が発動したら、勝敗は逆転するんじゃないかな?」

(速さ次第で決するか。そんなケースバイケースでしか勝ちの目がないような能力は、最強とは言えないな。)

「思ったんだけどさ、これ能力を一つしか所持できないこと前提になってない?」(前提にした覚えはないから、複合能力有りでも別にいいぞ。)

「じゃあ 相手の能力発動よりも先に自分の能力を行使可能で、不死を貫通させて確実に相手を即死させる能力 これが最強なんじゃない?」

(残念。一見最強そうに見えるが、その能力だと 自分の能力発動が第一優先される力+相手に隙を与えずに絶対死を与える力 には勝てないんだな。)

「それならその力が最強でいいじゃん。」

(と思うじゃん?でもこの能力も 第一優先能力よりも先を取れる能力発動能力を有し、相手に絶対死を与える力 の前では何もできずに終わる。)

「だったらその能力が」

(ところがところが、この能力だって 第一優先の先の先を)

「○○よりも~ を考えたらキリがないじゃん。屁理屈だよそれは。」

(だが実際に考え得る能力として存在する限り、屁理屈でも最強候補能力に変わりない。)

「だとしても、無限に上を行く上が出続けて、一向に収束の気配がないんだけど。」

(だから最強というものが分からなくて、こうやって質問したんだろ。)

「思うんだけどさ、最強の能力って人知を超えた力だと思うんだわ。」

(だろうな。)

「人知を超える…ってことは、つまり人間である俺たちでは到底達し得ない思考の範囲に答えは存在しているってことなんだよ。」

(つまり、俺たちが考え抜いて出した最強能力というのは 人間の思考能力で考え得る最強能力 という井の中の狭い世界での天辺に過ぎない…そういうことか。)

「真の最強能力という観点で言えば、そういうことになるね。」

(上位次元からの攻撃も侵食能力も…人間という種族が議論を展開している以上、井の中の蛙は払拭されないということだな。ということは…)

「ん?」

(真の最強能力というのは 我々人類の思考では到底達し得ない領域に存在する未知の何か というのが最適解ではなかろうか。)

「まっ、とはいえ、この考え方もお前の出したその結論も、結局は個人という井の中の発想でしかないんだけどな。」

(じゃあ結局最強の能力って何なんだよ。)

「知るか。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る