🌻みんなの夏2017🌻
侘助ヒマリ
カクヨムでの一年を支えてくださった皆さま ありがとうございます♡
『星の降る夜、私たちはこの関係を終わらせる。』より
受験生の夏休み ー晶と実樹ー
【situation】
8月初旬の午前中、
テニス部を引退した
*****
「ねえ、実樹。この、下線(1)の構文がわかんないんだけど」
「あー、ここか。俺も訳すの苦労したんだよな。ここはさ、関係代名詞のwhichがどこまで掛かってるかってのがキモで……って!
駿汰ぁ!そこで寝に入るなっつーの!こっちまで眠くなるだろうが!」
「もう俺、
「勉強始めて1時間も経ってないよっ! そんなんじゃ午後からの明日美ちゃんとのデートまでに終わんないよ?」
「……デートじゃねぇし。ラケット新調したいからどれがいいかって聞かれて相談に乗るだけだし」
「あのさぁ。お前、バレンタインに明日美ちゃんから本命チョコもらってんだろ?
もう半年経つんだし、そろそろはっきり返事してやってもいいんじゃねぇの?
明日美ちゃんもきっと待ってんだろ」
「はぁー……。実樹に言われたくねーわ、それ。
お前、ずっと晶のこと待たせてたくせに」
「ぷふっ!そーだそーだ! あたしはずっと待たされてたぞー」
「うっせえよ!俺たちの場合はしょーがねえだろ!?
……お互いが近すぎて、自分の気持ちに気づくまでに時間がかかったんだから」
「あたしはずうっと前から自分の気持ちに気づいてたんだけどなぁ」
「……はいはい。自分の気持ちに気づかない鈍感男で悪かったよ。
って、今は駿汰と明日美ちゃんの話だっただろ!?」
「……実樹。駿汰、寝ちゃったよ」
「ええ~マジか……。まあこいつ、夜のコンビニバイト始めたから、昨日もあんま寝てないのかもな」
「弟妹いるし、今から少しでも大学の学費稼いでおくって偉いよね。
うちら、一人っ子だからって親に甘えさせてもらってるよね……」
「おう。だからせめて一緒に国公立狙おうぜ! 」
「ん。がんばる!……でもさ、実樹ならうちのマンションからでも通えるY大狙えるでしょ? 同ランクとはいえ、わざわざ都内のH大志望しなくてもよさそうなのに」
「だって、お前はT大志望だろ?」
「うん。そうだけど。でも、ここと都内じゃあ遠距離ってほどでもないし、週末に実家に帰ってくればすぐに会えるし」
「……俺、晶と一緒に暮らしたい」
「えっ……!?」
「同じマンションに住んでるし、こうして毎日ってくらい部屋を行き来して会ってるけどさ。
一緒に暮らすって、やっぱ絶対違うと思うんだ」
「えっ? えっ? で、でもっ、みっくんママとかうちの両親に何て言うのよ?
いくら幼馴染みの実樹だからって、一緒に住んでいいとはさすがに……」
「同じアパートの隣同士とかに部屋を借りればいいんじゃね? あーちゃんママだって、防犯上俺が傍に住んでた方が安心だって言うと思うし。
……てか、晶は嫌なの? 俺と同棲するの」
「い、いやなわけ、ないじゃん……。
実樹とずうっと一緒にいたいもん……」
「俺も。こんだけ一緒にいても、まだまだ晶と一緒に居足りない」
「実樹……」
「晶……」
「「……………」」
(やべえ。俺、完全に目を開けるタイミング失ってるわ……
しかも、もうとっくに明日美ちゃんに返事してることもまた言いそびれた……)
―おしまい―
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