少女に捧ぐ
秋月ありさ
第1話人形
「もうそろそろ整理しなきゃね。」
母はそう言って私が二年ほど前まで仲良く遊んでいた人形を売りに行った。
私はその人形をリナちゃんと呼んでいた。小4だった私はもちろん人形遊びなどはとっくに卒業していたし、このまま私の部屋の片隅に置かれて忘れ去られるよりも、誰か他の子に遊んでもらった方がリナちゃんのためだと思ったのだ。でもその時私は薄々感じてはいた。私が使い古したボロボロの人形を誰が買うだろうか、と。
母と売りに行ったところは市のゴミ焼却場でそこにあるリサイクルショップだった。そこにはもちろん人形もあったし、家具や机などが並べられていた。ゴミ焼却場にもかかわらずその場所はとても清潔に管理されていて床も壁も真っ白だったし、静かだった。
私はそのリサイクルショップを見て回ったが、特に欲しいものはなかった。
そこに売られているものは一ヶ月経って誰も買ってくれなかったらそのまま処分されるらしい。私は誰かリナちゃんを一ヶ月以内に買ってくれますように、と願いながら家に帰った。
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