第123話
心臓の鼓動が速くなり、呼吸が乱れながら、私の全てが彼女達に集中してゆく……。
火照る躰、快楽を貪る意識、沸騰する血液……。
彼女達は芸術作品だ……意外にも詩織は肉感的ながら情緒的な躰を備え、適度に細くしなやかな万希子さんと共に仄かな大人の色香を漂わせている。
キャロルアンは、詩織と万希子さんの特徴を融合させた躰に、繊細な長い脚が美しく、女ならば誰もが羨む理想的な体型を披露する。
少女から、少し背伸びした大人の躰に変貌する過程においての一瞬の虚ろいと煌めきを切り取り、健康的側面にベクトルが向かった雪と、可愛さ側に振られたモカとモコの躰……。
アリスは、そんな3人の特徴を全て装備し、ほんのりと幼女の妖しさ、無垢と狡猾さが増したスパイスを全身に纏い、年齢に似つかわしくない発育が施された躰で眠っている。
そして……私を愛した流花と葵。引き締まった筋肉と女性特有の柔らかい肉体とのバランスが絶妙な流花……男が狂い、私でさえも弾力に優れた肌に浸り、永遠にむしゃぶりついていたい魅惑的な葵の躰……。
ヴィーラヴが、私のものになる……礼子さんでさえ私に介入しない……。
そう約束した……。
更に呼吸が乱れ、同時に私は何かを呟き始める。
「素晴らしい…」
「愛おしい……」
「素晴らしい……」
「愛おしい……」
「愛おしい……人形……」
「愛する……人形……」
「愛する……?」
「愛……人……形……」
「愛人形……」
「はぁっ……愛人形……」
「舞……今、なんて言ったの……」
「えっ…………」
なにか、心を動かされた様な礼子さんの声で、私は自身が紡いだ言葉を繰り返す。
「素晴らしく……愛おしい……」
「いいえ違うわ……最後の言葉よ」
「はい……愛する人形……」
「私の愛する……人形……」
「ふふっ……そうです」
「愛する人形……」
「愛人形……そう……」
「
「
「そうです礼子さん……彼女達は私を愛している。私も彼女達を愛している……だから、私の、私だけの愛おしい
礼子さんが、心の快楽の笑みを浮かべた……。
「
いつしか私達の瞳は潤いを増していた……。
幼き日の唯一の友人であり、理解者だった小さく着飾った人形達……。
父や、存在すら知らない母が聞いてもくれなかった私の寂しさや悩みを聞き、時に楽しく心で語らいあった物言わぬ彼女達……。
ヴィーラヴは、彼女達の再来なのだ……。
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