二つ目 体験した話 居ないはずの猫

居ないはずの猫 1

我が家では、かつて(今もですが)猫を飼っていました。

アメリカンショートヘアと和猫の雑種で、「ミー」という名前でした。

お父さんが子供のころにも「ミー」とその息子の「チー」という猫を飼っていましたが、そのミーは三毛猫で、「三毛猫だからミー」だったそうです。チーは、子猫の時にタンスから落ちて、よそにやれなくなったから引き取った猫で、「小さいからチー」だったとか。

私が知っているミーは、「ミーと鳴いたからミー」・・・だったのですが、私が物心ついたころにはもう10歳くらいのおばあちゃん猫で、ミーというよりミ"ーに近い鳴き声になっていました。

とても賢く、我慢強い猫で、私の兄が赤ちゃんの頃、どうも「この子は守ってあげなくちゃいけないもの」と悟ったらしく、いつも一緒にいてお世話していたとか。そのせいで、幼少期の兄が猫しか知らない抜け道を覚えて、見つけて連れ戻すのに苦労していたらしいのですが。

私はというと、おままごとと称してビニール袋にミーを入れて引きずり回し、怒られたらしいです。

そんなミーちゃん、私が幼稚園の年長さんだったか、小学校低学年くらいの時に、老衰で死んでしまいました。

それから、今の猫を飼い始めるまで、しばらくミーの気配が家中でしていました。

庭で立っていたら足首にミーが頭をこすりつける感触がしたり、視界の端にミーが映ったりしました。

きっと、私も兄も小さかったから、心配で離れられなかったのでしょうね。

・・・ただ、割と最近でもミーが見えることがあるのですが。


居ないはずの猫 2

今いる猫はミーの子供というわけではなく、元野良猫です。

いつの間にか猫のお母さんが家の裏に住み着いていたから、子猫を引き取ったのです。

ただ、うちの祖父の自己中のせいで、一回子猫が皆ビニール袋に詰められ、捨てられてしまったことがありました。

お父さんは曾祖母(お父さんから見て祖母)が野良猫を殺しているのを見たことがありはしたのですが、その時は、ビニール袋に詰めるなんてことはせず、一匹一匹丁寧に、なるべく苦しまないように殺してやって、持っている空き地に埋めてやっていたから、ひどく怒っていました。

その後、どうも4匹いたうち1匹が衰弱死してしまったらしく、お迎えできたのは3匹だけでした。

祖父はそんなことは気にも留めず猫をかわいがろうとしましたが、嫌われまくりでした。

それは置いといて。

・・・3匹しかお迎えできなかったはずなのですが、どうも4匹目も来てしまったようです。

視界の端にちらちら映っていることもあれば、目の前をすごい勢いで走り去ったりしていることもあります(走っていった先を見ても何もいませんでした)。

最近はもう満足したのか、出てこなくなったのですが、ごくまれに見えたりします。

最後に見たときは、なぜか前述したミーと一緒にいたのですが・・・彼(彼女)らは彼(彼女)らでうまくいっているのでしょうか。

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