第7話トンネル貯水池

6人「えーッ!」


○ワゴン車

   ワゴン車、三条東山を右折。


○ワゴン車内

   6人がいる。

山本「まちがいない。変面はその水量を計算して貯水池を広げ

 岩盤に穴を開けてタイミングよく岩が崩れるように調整している」


原田「後はどうやって流れの方向を変えるかだな?」

木村「それは日ノ岡ね」

高田「うまいこと流れを変えんと自分も流されてまう」


山本「そのとおり。一番のポイントはそれだ」

   ワゴン車、蹴上の坂をあがる。

○京都府警本部、正面


○同、本部長室

   山本本部長が電話をしている。

本部長「そうはいうてもなあ。それだけじゃあ府警は動けん。

 とにかく出羽と亀山に調査させるから、その結果次第だ」


   本部長、電話を切って窓の外を眺めながら、

本部長「まさかだとは思うがやりかねん。人的被害さえ出なければいいのだが」

   本部長、電話をとる。

本部長「出羽と亀山を呼んでくれ」


○日ノ岡

   出羽、亀山、堤の辺りを調べている。

亀山「別に変わった事はありませんねえ」

   二人、土手のトラックの所に来る。

   二人、トラックの脇からトンネルの中に入ろうとする。

   が、狭くては入れない。


出羽「潰れて入れん」

亀山「別に変わった事はありませんねえ」

   二人、諦めて通り過ぎる。


○同、山林

   雑木林の中に空気口がある。

   木々に隠れて見えにくい。

  時々ふたが開く。

   ふたには変面の絵が描いてある。


   出羽と亀山が歩いてくる。

   木々に混じっていくつかの空気口がある。

   時々ふたが開いてはしまっている。


   二人が見上げるとしまっている。

   二人が歩き始めるとふたが開く。

   全く気付かずに進む二人。



亀山「別に変わった事はありませんねえ」

出羽「・・・・」

亀山「清水寺が消失するなんて」


出羽「それはないやろうとは思うが・・・・・」

   二人去る後姿。


○日ノ岡

   疎水が流れている。

   6人がいる。

   疎水の先はトンネルである。木村「疎水の下にトンネルを」

山本「そうか、なだらかなトンネルでいいわけだ」


原田「底が抜けて南禅寺と蹴上の浄水場へいく水が

 全部清水の裏にたまる」

高田「どのくらいで岩が崩れるのやろ?」



山本「わからん。この間見た限りでは数分で貯水スペース

 は満杯だ。しかもあの程度では岩は崩れない」

原田「岩盤に穴を開けていたのは?」


木村「ダイナマイト?」

山本「そうか、そうかもしれん」高田「あれ?亜紀ちゃんと太一君は?」

   そこへ二人が現れる。

原田「どこへ行ってた?」


亜紀「大きな穴が」

太一「前よりものすごく大きくなってる」

亜紀「反対側にも」


山本「一味は?」

亜紀と太一「今日はお休みみたい」

山本「よし、行って見よう!」


   6人、うなづく。

太一「あ、それにもうひとつ」

原田「何だ?」


亜紀「あ、そうそう、あれ!」

   太一と亜紀、山林を指差す。

   木々にまみれて空気口が見える。


山本「あ、空気口か。なるほど」

木村「じゃあ、あななた達、向こうからトンネルに入って。

 私達ここで合図をするから」


原田「それはいい」

山本「よし、じゃ分かれよう!」

   山本、原田、太一行く。


○土手の堤

   トラックが洞に埋まっている。

   山本、原田、太一が来る。

原田「あれ、荷台の脇まで埋まっている。

 どうやって入ったんだ、太一?」

  太一、笑みトラックの下にもぐりこむ。

山本と原田「なるほど」

   二人、腹ばいになる。


○トンネル、内

   真っ暗である。

   3人の声だけが聞こえる。

原田「真っ暗じゃないか。どうやって分かったんだ?広いのが」


  そこでぱっとライトがつく。

   太一が大きな懐中電灯を持っている。

山本と原田「おおー!」

   ライト、奥を照らす。

原田「これは広い!」

山本「確かにあちら側にもトンネルがある」

   ライト、あっち側のトンネルを照らす。


○坑道

   3人、ライトの中をゆっくりと歩む。

   立って歩けるほど広い。

   突き当たりで左に曲がっている。


原田「ずいぶん大きいトンネルやなあ」

山本「シッ。耳を澄ましてみ。音が聞こえる」

太一「あっちだ」

   あっちでカチンカチンと音が聞こえる。

太一「空気口です」

山本「彼女達だ」

原田「叩いてみよう」


   原田、近くの石を拾い管を叩く。

   トントンと返事の音がある。


○別の坑道

   忍者がいる。

   音に気づく。


○もとの坑道

   3人がいる。

原田「よし。大急ぎで奥を確かめよう」

山本「その前に歩数をよく確かめておこう」

   山本、歩数を数えながら歩み、壁に突き当たる。


山本「ここは岩盤ではない」

原田「ちょうど10歩。空気口からちょうど10歩だ」

山本「ふむ。岩盤を大急ぎで確認しよう」

   3人、うなづく。


○別の坑道

   忍者、忍び足で歩み始める。


○もとの坑道

   かなり広い坑道を3人が歩む。

山本「これは広い、前よりはずいぶん広い」

原田「ゆったりとした下り坂」

   3人下っていく。


○別の坑道

   忍者が警戒しながらゆっくりと歩んでいる。

  忍者、3人と出くわす。

   忍者、逃げようとする。


   原田、頭突きを食らわす。

   近くで縄を拾ってきて忍者を縛る3人。

山本「急いで岩盤を確かめよう」

   3人、うなづく。


○岩盤の部屋

   突き当たり、大きな岩盤。

   3人、驚き見上げながら、

山本「これはすごい!」

太一「ここにずっと穴が」

原田「ダイナマイトの穴?」


山本「という事は。疎水の底が抜けて水がこちらに流れ

 たまる。目一杯たまって岩が崩れる。これだけ広ければ、

 間違いなく清水の能舞台は壊れる」


   3人、じっと岩盤を見上げる。

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