例え難い日々

鶴翼

空はいい


色んな顔を見せてくれる


朝・昼・夜


同じ一日でも時間によって違った表情を見せてくれる


同じ表情なんて一日もない



「風が気持ちいい」

「もう8月か」

一人、朝のベランダで呟く

朝、運よく起きられた日はベランダに出て

何をするわけでもなく、ただ風を感じて空を見上げる

日課...というものでもないけれども、それが私の習慣だった

私は夜型の人間だ

自慢するわけではないし、かといって卑下する気もない

治さないと...と思うが治らない、もうそれが私だから


太陽が目に入る

「眩しい...」

夜型の私には太陽に対する耐性が他の人に比べ若干低い

「部屋に戻ろう」

時間を確認する

時刻は7時半、社会人や部活のある学生はそろそろ...いや、家を出ている人も少なくない

「今日は...バイトか...」

空を見て忘れていたことを思い出す

とたんに憂鬱になる

バイト先の人間関係は嫌いではない、むしろ良い方だと思っている

ただ、仕事内容が自分には合わない

4時間、長い時には8時間レジに立ちっぱなしで接客をする

他人と話すのが得意ではない私には苦行だ


ふと上を見上げる。

「そっか、部屋に戻ったんだっけか」

憂鬱になると上を見る。

なぜなら空を見たいから、けど、憂鬱な時に限って室内に居る。

「朝飯、食べるか」

朝はパンとコーヒーだけ

朝は食べられないのだ

吐いてしまう


「宿題、片付けるか」

朝飯を食べ、食器を片付けた私は

一人呟く

一応、高校生なのだ

ある程度の事はこなさなければならない


宿題を片付けていると、アラームがなった


.............

バイトだ


いつもとは違いバイトが早い

ふと時計を見上げると13時

バイトは15時からだが

昼飯と着替え、移動時間を含めたらちょうど良い時間だった


昼飯と着替えを済ませ、バイトに行く



―――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――


―――――――


――


もうすぐバイトが終わる

一日は早い

もう21時だ


そうこうしているうちに時間になり打刻をして準備をして店を出る。

「疲れた、ただ疲れた」

そして家の近くまで自転車を走らせる。

まだ家には帰らない

公園に行く

それが習慣


「キレイだ」


呟く

寝そべりながら星を見る


そのまま何もかもを忘れてただただ星を見る


曇りの日もそうだ


いつからか、それが習慣になっていた

多分理由は家に帰る気が起きないから


家庭環境も悪くない、が

思春期なのか、外で遊びたいという欲があった

だけどすることがない


空が好きだから空を見る


それが私だった


私の一日は

宿題をこなし

バイトに行き

空を見る

たまに友人と遊ぶ

何の変哲もない高校生の日常だった




その日常に若干の虚しさを感じて





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